イエモンも常連だった……“楽器横領”逮捕のギターショップ店長の意外な素顔
#逮捕
昨年閉店した都内のギターショップの経営者が、客から修理品として預かった高価な楽器などを無断で転売した業務上横領の疑いで逮捕された。
昨年の秋から音信不通となって客や知人らを困らせていたのは、楽器店の経営者だった山本誠容疑者。2015年、客から修理の依頼で預かった100万円相当のベースギターを現金25万円で質入れするなどした疑いだが、ほかにも数十件の被害相談が警察に寄せられており、多数の余罪があるとみられている。山本容疑者は調べに対し、「店の運営資金に困って5年前から50本以上の楽器を質に入れて、800万円ぐらい得ていた」と容疑を認めている。
あるミュージシャンは容疑者の逮捕前、「『有名なロックバンドのメンバーがオリジナル楽器を作るための参考モデルとして必要だ』と言われて楽器を貸していたけど、実際にそんな話がないことがわかった。計画的に楽器を騙し取られたかもしれない」と話していた。
「2年ほど前、日本中で知られた有名ロックバンドのメンバーの名前を出されて、僕が持っている希少なギターを参考に新モデルを作るっていう話でギターを貸したんですが、長く戻ってこないまま。ときどき催促はしても、結局、逃げられてしまいました」(同ミュージシャン)
問題の楽器店は東京・高円寺で昨年の夏ごろまで営業していた「Buddy Sound Works(バディ・サウンド・ワークス)」で、山本容疑者が09年にオープン。客にはTHE YELLOW MONKEYのメンバーなど有名ミュージシャンもいたが、その異変に周囲が気づき始めたのは、一昨年のこと。
「店は以前、ライブスペースやバーも兼ねて結構、大きな店舗だったんですけど、突然『多忙で運営しきれない』と言って、同じ高円寺内の小さな区画に移転したんです。本人は『仮店舗』と呼んでましたけど、仲間内では経営がうまくいかなくなっているんじゃないかとウワサされていたんです。さすがに、こんな事態までは想定できなかったですが」(同)
小さな店舗に移転したあたりから、山本容疑者は腰痛を苦にしていた様子で、楽器修理の納期が遅れがちになっていたという。
「いつもは『修理がまだ終わっていない』と素直に言うところ、『病院通い』とか『親戚の法事』とか、変な言い訳をするようになっていて様子がおかしかったです」(同)
一説には、音楽とは無縁なアルバイトを他でやっていたのではないかともいわれていたが、その“バイト”は楽器の無断転売だった。昨年9月、移転先の店も予告なく閉鎖され、店舗内にあった楽器や荷物もすでに引き払われており、見た目には「夜逃げ」状態だった。以来、電話やメールにも応答はなく、ブログやTwitterなどの更新もないままだった。
「本人からは、経営が苦しいなんて話は聞いたことがなかったんですけど、山本さんは楽器屋ながらライブのスタッフとかも請け負っていてアーティストから信頼されていたんで、そういうことは言いにくかったのでは。音楽家の結束は強いので、正直に言っていれば仲間で支え合った気もするんですが…」と前出ミュージシャン。
行方不明であることがテレビで伝えられた後は、店で楽器を購入しながら現物を受け取っていないとする被害者もいて、こちらは詐欺罪に問われる可能性もある。
逮捕前、「山本さんの私生活はよく知りませんが、高校生ぐらいの息子さんや、年老いた猫がいると話していましたから、このまま姿を消すのは難しいのでは」と話していた前出ミュージシャンによると、中には100万円を超える価値のある貴重ギターを預けたという人もいるという。逮捕後、自宅からは多数の盗難品と見られる楽器が発見されたが、その数は20本程度だそうだ。
「このまま大切な楽器が持ち主の手元に戻らない可能性もありますよね……」(同)
楽器への愛情は誰よりも知っていたはずの山本容疑者だけに、何よりやってはいけないことをしてしまったようだ。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)
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