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【wezzy】

更年期を意識したきっかけは「2週間続く生理」だった―49歳、女性ホルモンの値を知る

「女性が百人いれば百通りの更年期症状とその対処法があるはずだ。十把一絡げでは語れないだろう。いったい皆さん、このキツイ時期をどのようにして過ごしているのか。そもそも生理がなくなることをどうとらえているのか。閉経した場合、それを夫や恋人、または女友達にも話すのか? そして、この世代のセックスっていったいどうなっている? そこにも変化は現れるのだろうか」

 現在50歳、2016年12月の連載スタート時は49歳とまさに更年期世代ど真ん中の私が、上記のような思いから始めた「向き合います 更年期世代の生と性」。デリケートな話題にも関わらず、これまで取材に協力し自身の体験を話してくださった方々にはほんとうに感謝しています。ありがとうございます。

 さて今回は少し趣向を変えて、私自身の体験を書いてみたいと思う。連載スタート時は、これまでササっと苦も無くできていたことが億劫になり始めたなどの自覚があったものの、それ以外はとくに大きな体の変化はなかった。たとえば更年期症状としていの一番にイメージされる<ホットフラッシュ>。あの症状も未体験である。

 ただ、生理の乱れ。これはけっこう辛いものがあった。ひどいときは15日周期で生理がくる。量も多い。2日目、3日目に外出する際はタンポンのスーパーサイズと特に多い日の昼用ナプキンを併用しないと安心して外も出歩けない。だんだんと生理の日数も長くなった。終わらないのだ。8日、9日と続くことも度々あり、その頃から時折、歩いていて急にフラっとするように。「まぁ生理のたびにこれだけ出血してたら、貧血にもなるよなぁ」程度に考え、そう深刻にならずただひたすら早く閉経することを願っていたのだが……。

 2017年の冬。2月の生理が終わらなかった。2週間出血が止まらないのだ。「これはさすがにまずいだろう…」と思い、とにかく血を止めてもらおうと婦人科へ。そこは地域でもとても評判がいい病院で、過去に婦人科検診でお世話になったこともある。その日の担当は30代と思しき青年医師(わりとイケメン)。私はその青年に「生理が止まらないんで、血を止める薬かなんか出してもらえませんか?」とお願いをしてみた。すると青年医師は「まず血液検査をしましょう。1週間後にまたきてください」とのこと。

 この日は血液検査をしてもらい、生まれて初めて女性ホルモンの値も測ってもらうことに。このときは連載をスタートさせており、更年期についても少しずつ知識が多くなり始めていた頃。女性ホルモンの値を測ることで、更年期症状かどうかを判断できるということはもちろん知っていた。ただ、ホットフラッシュも不眠症状も、気分の落ち込みもなかった私。大きな悩みは生理の乱れだけ。そのため「私、年の割にはたぶんまだ女性ホルモンたっぷりあるんじゃないかしらん」なんて妄想していたのだが。

49歳、初めてのホルモンチェック
 後日、再び病院に行き青年医師から手渡された血液検査の結果シートをチェックしてみると、あぁ、なんていうことだろう! E2との冷たい文字まで書かれているではないか!!

 E2とFSHは年代、生理周期によって値は変わるものであるが、参考までに下記にその基準値を書いておきたい。

▼F2基準値(pg/ml)
・卵胞期25~195
・排卵期 66~411
・黄体期40~261
・閉経後 10~40

※50以下となると更年期であると診断されることが多い。

▼FSH基準値(miu/ml)
・卵胞期 3.5~12.5
・排卵期 4.7~21.5
・黄体期 1.7~7.7
・閉経後 25.8~

 さて、生まれて初めての女性ホルモンの検査結果を見て、私の根拠なき自信は木っ端みじんに打ち砕かれた。シートを片手にもう失笑しかない。測定不能のE2に対して、FSH(卵胞刺激ホルモン)は48(miu/ml)と高め。FSHが高いというのはどういうことかというと――。

 40歳を過ぎると共に女性ホルモンは減少し始める。そうすると、卵巣から女性ホルモンが出ていないために、脳下垂体ホルモンであるFSHは「おい、もっとホルモン出せよ!」と卵巣を刺激、脳にも指示が送られることになる。女性ホルモンが減少すればするほど指示は続き、更年期世代ともなると24時間指示が送られ続けて脳は混乱しパニック状態に。つまりFSHの値が高い私の脳は「女性ホルモン出さないと、出さないと」と興奮状態になっている……はずなのだ。通常、この状態に陥ると不眠の症状を訴える人が多いのだが……。私は違った。毎日スヤ~っと健やかに眠りについていたのである。大切な指令や脳のパニックなどまったく無視していたのだろうか。

 想像していたのとまったく違う結果に呆然とする私に、青年医師は告げる。「超音波で子宮の状態を診てみましょう」と。男性医師の内診を嫌う女性は多いと聞くが、私はまったく平気なタイプ。素直に頷き、隣室にある診察台へとあがった。超音波検診をする青年医師の診たてでは、子宮内膜症になっていると。そのせいで子宮がかなり大きくなっており、内膜があるせいで生理の出血量が多い、とのことだ。診察台を降り、再び最初の診察室に戻る。青年医師は治療方法をさわやかな笑顔で告げた「もう薬で生理を止めちゃいましょう」と。んんっ? それは一時的に出血を止めるわけではなく、永久に生理を止めるということなのか? しかも人工的に?

 顔中にクエスチョンマークを浮かべた私に、説明は続く。「この数値を見ると放っておいてもすぐに閉経します。でもいまの問題は貧血の症状が出ているということ。ここを改善するためには、すぐに出血を止めないと」と。イケメン医師が言うには出血を止めるために、今日、リュープリンという注射を打つ。1カ月に1度、病院に通いリュープリン注射×半年。「これでおそらく完全な閉経に持ち込むことができるでしょう」と続けた。医師の言うことに真剣に耳を傾け、聞き漏らさないよう努めたものの、なんとなく納得がいかない。閉経後にはほとんどの女性はE2が5以下となる。つまりまだ1度しか数値を測ってはいないが、その結果を見る限り私はほぼ閉経しているも同然ということだ。だが、それでも無理やり生理を止めて、それが重い更年期の症状が出るようなきっかけになったりしないのだろうか? そう思い質問してみると……。

注射をすることで閉経を早めることに……
 「いま49歳ですよね、その年齢で閉経してもなんらおかしなことじゃないですから! それに重い更年期になる人はだいたい見てわかります。あなたはたぶん更年期障害(注・更年期症状と更年期障害は違う)にはならないですから、そんなの心配しなくていい」と、青年医師は言った。なぜだ、なぜ言い切る? 今日であなたと会うの2回めですよね? しかも合計して20分もお話してませんよね、それなのになぜ? 私のなにを知っている?

「仮に更年期の辛い症状が出たとして、こちらの病院ではHRTは受けられますか?」

 さらに追及すると、明らかに青年医師の表情が変わった。「HRT? なんであんなものやりたいの? 乳がんのリスク怖いですよ。あのね〇〇さん(筆者の本名)、閉経や更年期はあなたの年ごろならなんら恥ずかしいことなんてないんです。みんなにくることなんです。だからいま注射で止めたところでなんにも問題ないですから」と矢継ぎ早にまくしたてられた。

 この連載では何度も出てきたHRTという言葉。念のため、HRTとはなにかをここでも説明しておきたいと思う。HRTとはホルモン補充療法のことである。更年期世代になり減少したエストロゲンを、飲み薬やパッチやジェルなどの薬を用いて補う治療であり、治療によって40代半ばのエストロゲン量になるように設定される。なお、HRTを始めるためには医師による診断と処方が必要である。

 さて話を青年医師と私の診察室での会話に戻そう。医師から閉経を恥ずかしがっている云々とまくしたてられた私は答えた。「いえ、私、閉経することは恥ずかしいことなんてまったく思ってません。ただ注射を打って無理に閉経することで体に負担はないのかと思って」。しどろもどろながらも当時持っていたありったけの更年期の知識を総動員して質問を続けると、青年医師は明らかに診察時間が長くなっていることにいら立っているように見えた。だが、薬を売ってちゃっちゃと閉経させましょう、と言われてすぐに「はい、そうですか。じゃあ打っちゃいますかね~」と受け入れる患者は多くないように思えるのだが……。

 しかし私の知識では抗い続けることはできず、結局は言われるがままにリュープリン注射を打ち、会計を待った。名前を呼ばれ、金額を告げられる……高っ! 明細を見る。なんとそのリュープリン注射は1本で約9,000円近いシロモノだったのだ(保険適用)。いやいやいや、それちょっと先にひとこと言ってほしかった。高い注射ですけど、いいですか? とかなんとか。そのぐらいの気配りしても罰は当たらないんじゃないですか、先生。6回打つなら約6万円近いお金がかかることになる。6万円使って無理に閉経……再び頭の中に果たしてこの処置でいいのかどうか疑問が浮かぶ。だがもう打ってしまったものは仕方ない。リュープリンはもう私の体内で生理を止めるために働きだしている。この日は素直にお金を払い、帰路についたのであった。

セカンドオピニオンを取ることを勧められる
 ちょうどこの頃、この世の中に<メノポーズカウンセラー>なる資格がある、と教えてくれた友人がいた。その友人は何年か前に資格を取得済みで、取得後も勉強会や学術集会に出て更年期について学び続けているとのこと。むくむくと興味が沸いた。連載を続ける以上、私もその資格を持っておいたほうがいいのではないだろうか。そうすれば、医師でも看護師でもない私が更年期を語ることに、少し信ぴょう性も出るかもしれない。そう思い、すでにメノポーズカウンセラーとなった人たちが定期的に集う部会に見学がてら参加させてもらうことに。

 その帰り道、誘ってくれた友人にリュープリン注射を打った顛末を話すと……「なんとなく引っかかる。ほんとにそれしか方法ないのかな? ほかの病院でも聞いてみたほうがいいよ」と言われたのだ。違う病院でも診てもらう。そのときはそんなことまったく考えてもみなかった。セカンドオピニオンを取るほどの病気でもないし……心のどこかでそう思っていたのかもしれない。けれど、注射で生理を止めて、その後もし更年期の辛い症状が出たとしても。あのまるで患者がベルトコンベアーに乗せられているような状態の病院じゃ、HRTについてじっくり相談はできないだろう。ならば、HRTについて好意的な病院で、セカンドオピニオンをとってもいいんじゃないだろうか。そう思い、私は友人がかかっている神奈川にある産婦人科を訪れることにした。

(後編へつづく)

最終更新:2018/02/12 07:15
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