有賀さつきの死因を探る報道は「小林麻央がん闘病」スクープ合戦の続き
2月5日、元フジテレビアナウンサーの有賀さつきさんが、1月30日に都内の病院で死去していたことが明らかにされた。52歳の若さで、病気により入院していた先で亡くなったという。
有賀さつきさんの実父である有賀洋さんは、横浜市内の自宅前に詰めかけた報道陣の取材に応じたが、病名や死因については一貫して伏せている。病名や病状についても、故人の遺志を尊重し明らかにしないと明言。一部スポーツ紙が病名を「乳がんだったのでは」と推測したが、洋さんはこれを否定した。
有賀さんも遺族も、死因や病名の公表を望んでいないわけだが、それでもなお「いつから闘病を……」「痩せてしまっていた……」と答え合わせするような報道や、ネットユーザーの無礼な憶測は途絶えない。
この件で思い起こされるのは、昨年6月に亡くなった小林麻央さんの病状についても、盛んなスクープ合戦があったことだ。2016年6月、「スポーツ報知」が小林麻央さんが進行性のがんを患い闘病中だと報じた。これを受けて、説明を求めるマスコミが自宅に押しかけたことから、夫の市川海老蔵が記者会見を開き病状を公表した。
その際、海老蔵は「報道陣が押しかけて子供達が幼稚園に行けない」ため、事態の収束をはかり、それまでどおりの家族の日常生活を送るための会見だったことは明らか。しかし「もっと、もっと」と情報を求めるメディアは、その後も市川家の周辺を探り、歌舞伎の後援会界隈や病院関係者に聞き込みをし、ブログの発言を拾い、毎週のように報道した。麻央さんの通院先とされる病院を予想、医療関係者のコメントを用いて勝手に麻央さんのがんの「ステージ」予測までするメディアも少なくなかった。
理屈としては、会見で海老蔵が麻央さんの乳がんを「深刻だ」と表現したが手術をしていないことや、ブログを頻繁に更新するものの麻央さんの病状について細かく書いたりはしないことが、世間の「知りたい気持ち」を煽ったのだ、と見る向きもあるだろう。しかし彼女の病状がそんなに「知りたいこと」「知らなければ困ること」だっただろうか。
海老蔵は記者会見やブログで再三、マスコミへ向けて「取材はご遠慮ください」と訴えた。特に週刊誌記者のハリコミは執拗で、「雑誌の方々、静かに見守ってください」と自粛要請を重ねた。何度も「お願い」しても取材は控えられず、また麻央さんの死後も市川家は噂話で構成された再婚騒動などが報じられている。
病気はスキャンダルとは違う。体調についてというのはごくプライベートな話題で、芸能人だからといって他人がズカズカ踏み込んでいい領域だろうか。身内にすら隠して闘病したい人もいるだろう。今は出演者の人間ドックを公開するバラエティ番組もあり、闘病を公表する著名人もいるが、言うも言わないも本人や家族の判断次第だ。
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