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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 映画館で体感する超リアルな降霊実験
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.465

これは映画館で体感する超リアルな降霊実験だ!! 現世と異界とを結ぶ試み『霊的ボリシェヴィキ』

 Jホラーブームを巻き起こした『女優霊』や『リング』シリーズの脚本を手掛けた後、高橋洋は自身で監督も務め、より先鋭化されたホラー映画を撮るようになった。藤井美咲、中村ゆりが出演した『恐怖』(09)では、人間の脳の側頭葉にあるシルビウス裂に刺激を与えることで人為的に遊体離脱を起こすという実験に取り憑かれた脳科学者(片平なぎさ)の狂気が描かれた。本作もまた、常規を逸した心霊実験をシミュレーションしたものとなっている。刑務官だった三田や神隠しに遭った由紀子たちがそれぞれ語るエピソードは、実際にあった出来事や高橋監督自身の記憶をベースにしたものばかりだ。キャストが集まっての初めてのホン読み(脚本の読み合わせ)は、「まるでそれ自体が降霊実験のようだった」とスタッフが語るほどの緊張感に満ちていたという。

 本作は映画ではない。あの世とは何か、生きた人間が異界を知覚することができるものなのかを証明しようとする、観客参加型の心霊実験となっている。上映時間は72分と短いが、身の毛のよだつ一夜を過ごしたかのような濃厚な恐怖体験を味わうことになる。人間が感じる恐怖とはどこから生まれてくるものなのか? その恐怖の源泉を、高橋監督は映画を通して探ろうとする。本作が製作された2017年は、奇しくもロシア革命から100年というメモリアルイヤーだった。多大な血が流れた社会革命から101年、高橋監督は映画館の暗闇の中で、新しい革命を試みている。
(文=長野辰次)

『霊的ボリシェヴィキ』
監督・脚本/高橋洋
出演/韓英恵、巴山祐樹、長宗我部陽子、高木公佑、近藤笑菜、河野知美、本間菜穂、南谷朝子、伊藤洋三郎
配給/『霊的ボリシェヴィキ』宣伝部 2月10日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
C)2017 The Film School of Tokyo
https://spiritualbolshevik.wixsite.com/bolsheviki

 

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最終更新:2018/02/02 22:30
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