トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 揚げ物屋の「アイスのからあげ」
ホントにうまいのか? 珍級グルメハンター第83回

ファンタジーとリアルの間に漂う揚げ物屋で「アイスのからあげ」を食す!

 そうも思ったが、そんな変わったメニューがあってもおかしくない雰囲気の店ではある。直接店員に聞こうと、店の奥に声をかけると、「ハ~イ」という声とともに、親切そうな丸いメガネのおっちゃんが登場した。

「アイスのからあげってあるんですか?」

 願いを込めて聞いてみた。すると、

「ありますよ。雪見だいふくとモナカ、どっちがいいですか?」

 あった! 本当に。しかも2種類!! 漠然と、おしゃれなアイス屋さんで出される、丸くすくったアイスの唐揚げを想像していたが、市販のアイスだったか、そう来たか……。

 筆者が選んだのは、雪見だいふくの方。しかし、季節は冬。これだけあるメニューの中で、いきなり「じゃあ、雪見だいふくのほうで」というのも違和感しかない。まずは様子見で、鶏皮の素揚げを頼んでみると、これが、パリッパリのサックサクで、超~うまい! なんでカルビーは鶏皮チップスを出さないのかという、まさに“爆誕”レベルなのだ。ホットなシーズンならビールは必須だろう。

 その鶏皮をカリカリつまみながら、次は何にしようか考えあぐねた末に頼んだのが、イカゲソの唐揚げだった。これもまた、「サク・コリ・プッルン!」という三重奏の食感と、海の香りが楽しめる逸品。こんな店がウチの近くにあったら、毎晩でも通いてーゼ……。

 そして、いよいよ、その時はきた。

「すみませーん、あと、アイスの唐揚げ。雪見だいふくの方で」

 おっちゃんに、そうお願いした。

 約3分後、「ハイ、お待たせ……」と、受け取ったのは、コロッケのような、小さなカレーパンのような、小さくて丸い物体だった。上に生クリームがちょこんと乗っかっている。

「……ワイルドに食べてね」

 おっちゃんに言われたとおり、かぶりついてみた。

「なんだこれわわわ!?」

 歯を立てた瞬間の、生クリームの甘さと衣のサクサクした食感は、人生の中でも未知の領域だった。

「あ~、イカフライでやめときゃよかった……」

 後悔したが、間に合わない。そのまま噛み下ろすと、甘さのあとに一瞬だけ、皮である求肥の柔らかさを感じ、それから固めのアイスの食感と冷たい甘味が伝わってきた。

「う、う~ん?」

 今までクリームの甘さと揚げ衣というコンビネーションを体験したことがなかったのでチト気になる味ではあるが、まずくはない。まさに、「珍級(ツウ好み笑)」な味なのだった。

 店主に聞くと、店を始めて40年。変わり揚げを始めたのは30年前だという。当時は、昼間は子ども、夜は会社帰りのサラリーマンで賑わい、夜は酒も出した。しかし、飲酒運転で帰る客がいて酒の提供はやめ、駅前にマックができると子どもたちも遠ざかったという。

 なぜかファンタジーで、宮崎駿のアニメに出てきそうな、駄菓子屋みたいな揚げ物屋。次はモナカのほう、いってみっか……。

 

善行 ビーバー「あげアイス ユキミ」200円

SNS映え  ???
味     ☆☆
珍級度   ☆☆☆!!

お土産に持ち帰りした謎の「ビンボウライス」。意外と豪華……。

(写真・文=よしよし)

 

最終更新:2019/11/28 19:04
12
ページ上部へ戻る

配給映画