ファンタジーとリアルの間に漂う揚げ物屋で「アイスのからあげ」を食す!
#グルメ #珍級グルメハンター
そうも思ったが、そんな変わったメニューがあってもおかしくない雰囲気の店ではある。直接店員に聞こうと、店の奥に声をかけると、「ハ~イ」という声とともに、親切そうな丸いメガネのおっちゃんが登場した。
「アイスのからあげってあるんですか?」
願いを込めて聞いてみた。すると、
「ありますよ。雪見だいふくとモナカ、どっちがいいですか?」
あった! 本当に。しかも2種類!! 漠然と、おしゃれなアイス屋さんで出される、丸くすくったアイスの唐揚げを想像していたが、市販のアイスだったか、そう来たか……。
筆者が選んだのは、雪見だいふくの方。しかし、季節は冬。これだけあるメニューの中で、いきなり「じゃあ、雪見だいふくのほうで」というのも違和感しかない。まずは様子見で、鶏皮の素揚げを頼んでみると、これが、パリッパリのサックサクで、超~うまい! なんでカルビーは鶏皮チップスを出さないのかという、まさに“爆誕”レベルなのだ。ホットなシーズンならビールは必須だろう。
その鶏皮をカリカリつまみながら、次は何にしようか考えあぐねた末に頼んだのが、イカゲソの唐揚げだった。これもまた、「サク・コリ・プッルン!」という三重奏の食感と、海の香りが楽しめる逸品。こんな店がウチの近くにあったら、毎晩でも通いてーゼ……。
そして、いよいよ、その時はきた。
「すみませーん、あと、アイスの唐揚げ。雪見だいふくの方で」
おっちゃんに、そうお願いした。
約3分後、「ハイ、お待たせ……」と、受け取ったのは、コロッケのような、小さなカレーパンのような、小さくて丸い物体だった。上に生クリームがちょこんと乗っかっている。
「……ワイルドに食べてね」
おっちゃんに言われたとおり、かぶりついてみた。
「なんだこれわわわ!?」
歯を立てた瞬間の、生クリームの甘さと衣のサクサクした食感は、人生の中でも未知の領域だった。
「あ~、イカフライでやめときゃよかった……」
後悔したが、間に合わない。そのまま噛み下ろすと、甘さのあとに一瞬だけ、皮である求肥の柔らかさを感じ、それから固めのアイスの食感と冷たい甘味が伝わってきた。
「う、う~ん?」
今までクリームの甘さと揚げ衣というコンビネーションを体験したことがなかったのでチト気になる味ではあるが、まずくはない。まさに、「珍級(ツウ好み笑)」な味なのだった。
店主に聞くと、店を始めて40年。変わり揚げを始めたのは30年前だという。当時は、昼間は子ども、夜は会社帰りのサラリーマンで賑わい、夜は酒も出した。しかし、飲酒運転で帰る客がいて酒の提供はやめ、駅前にマックができると子どもたちも遠ざかったという。
なぜかファンタジーで、宮崎駿のアニメに出てきそうな、駄菓子屋みたいな揚げ物屋。次はモナカのほう、いってみっか……。
善行 ビーバー「あげアイス ユキミ」200円
SNS映え ???
味 ☆☆
珍級度 ☆☆☆!!
(写真・文=よしよし)
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