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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 主役・深田恭子が「損してる」!? 

『隣の家族は青く見える』主役・深田恭子が「損してる」!? ミスチルかけて「はい感動」では……

 

■奈々と朔が急接近

 

 みなが遠回しに敬遠しだす深雪を、唯一、家に上げて普通に接したり、まだ距離感のあり得体の知れない人物であるはずの朔に分け隔てなく接するなど、このコーポの良心とも呼びたくなる「いい人」の奈々。だが、自分の不安や悩みを表に出すのは苦手なようだ。

 前回、いきなり妊娠していることが発覚した第5の「家族」ともいうべき大器の妹・五十嵐琴音(伊藤沙莉)と両親が営む焼き鳥屋の従業員・糸川啓太(前原滉)の「出来ちゃった」カップルがいるのだが、母親(高畑淳子)の口うるささに「あーあ、妊娠なんかするんじゃなかった」と嘆く琴音の言葉に、奈々は敏感に反応してしまう。誰にも言えないが、焦っているようだ。

 その夫・大器は毎晩振る舞われる「妊娠に効きそう料理」や医者に言われた「タイミング」での子作り行為の波状攻撃に「子作り意識しだしてから、全然楽しくなくなったんだよなあ」と後輩・矢野朋也(須賀健太)を前にボヤく。

 しかも約束してた「タイミング」の日に、自身の開発した玩具のクレームで深夜に帰宅するなど、いろいろうまくいかない。

 そんな中、子宮卵管造影検査を控え、中庭で不安そうな奈々に気づいた朔が声をかけることで2人は打ち解け出す(ちなみに、この検査でも大器の精子の検査でも、異常はなかった)。

 雪が積もっても、そんなに寒くても花を咲かすという庭の植物(クリスマスローズ)を指し「たぶん、咲きたいって気持ちが大っきいんだろうね」「人間も同じだよね。辛いことや苦しいことの先に喜びや幸せがあるってわかっていたら、前に進める」「奈々ちゃんはあるの? 今くじけそうになってることの先に希望、ある?」と問いかける。戸惑いながらも「うん、ある」と答える奈々に「じゃあ、頑張れるんじゃない」と微笑む朔。「朔ちゃん」と呼びはじめた奈々が心を許したのがわかる。

 朔はこの後、広瀬が同僚の長谷部留美(橋本マナミ)と仲良さげに帰っている職場近くの夜道に突然現れ、「いつも『叔父』が! お世話になってます」とプレッシャーをかけたりと攻撃的な一面を見せるのだが、それも奈々に対して言った「希望」に裏打ちされた行動なのだろう。

 まだ広瀬の意向で押さえつけられているが、何かしでかしそうな朔は、おそらくこの物語を動かすキーマンになってきそうだし、北村自身も強い印象を残しそうな役だ。

 

■幸せなそうな側面も

 

 例えばちひろは、深雪のいきなりのおすそ分け訪問(玄関で阻止)にイライラしながらも深雪の手作り菓子を頬張り、川村と美味しいと笑い合ったり、深雪は深雪で自分が勧めた「マクロビ」や「グルフル(グルテンフリー)」の話を奈々がちゃんと聞いてくれているときに実にうれしそうだったり、その奈々も子作りがうまくいかず落ち込んでる時、「一人全自動(歯磨き)」という芸を披露して和ませる大器に優しさを感じたり、広瀬も、言うことを聞かない朔にイラつきながらも「朔~仕事終わったよ~」と笑顔で帰宅する様子に気持ちが溢れていたり、つわりで苦しむ琴音のために高額なスイカを買ってきてくれたり頼りなさそうな夫・糸川啓太だったり、それぞれが不満や問題を抱える反面、幸せを感じている部分があることもちゃんと見せている。

 それぞれの価値観の中で、各々が見落としがちな幸せを描いているのだが、これらが、ややもすれば重めになりすぎる内容を見やすくしており、力の抜けたテイストを生み出している。一方で、これをヌルさと取る人は物足りないドラマだと感じるだろうし、難しいところだ。

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