特に行きたい理由のない県・茨城県の椿事 茨城県北ジオパークが史上初の“認定取り消し”処分
#地域
どんなにひどい運営体制だったのか。日本全国に広がっている「ジオパーク」の認定。その中で昨年12月、茨城県北ジオパークが史上初となる認定取り消し処分を日本ジオパーク委員会から宣告され、物議を醸している。
ジオパークとは、いわば大地の公園。地質や自然地形などで貴重なものを保全し、次世代へと伝えるための教育事業などを行う施策で、各地でその整備が進められている。日本では、日本ジオパーク委員会が認定を行い、現在のところ洞爺湖有珠山ジオパークや糸魚川ジオパークなど、8地域が世界ジオパークとしても認定されている。いうなれば、地質学における世界遺産のようなものである。
「ジオパークというのは、単なる地質学的に貴重な土地を保存するものではありません。公的機関や民間団体などを通じて教育活動なども行われることが求められます。単に、珍しい地形を保存して観光に用いようというものではないのです」(自治体関係者)
茨城北ジオパークは、県内の五浦海岸や千波湖などを特色のある「ジオサイト」として2011年に認定。ところが、官民でつくる県北ジオパーク推進協議会の職員不足や、紹介する施設が少ないなどの問題点を指摘され、15年には2年間で対策を取ることを求められる「条件付き再認定」を突きつけられていた。
今回の現地審査で、委員会は企業やガイド、学生などの活動を評価する一方で、連携不足と運営体制の脆弱性などが改善されていないことを理由に認定取り消しの判断を下したのである。
事情を知る茨城県の関係者は「認定取り消しに対する関係者の怒りの声そのものが、取り消しの理由を露わにしている」と語る。
「関係者の間では“組織うんぬん以前に活動は努力している”というような声が多く、認定を取り消した委員会を“権威主義者の団体”と呼ぶ声もあります。さらに“地域活性化のために……”と怒っている人も多いんです。どうも、新たな観光資源ととらえ、勘違いしたままの活動を修正できないでいた印象です」(同)
その観光資源として生かす方法にしても、公式サイトを見ると、どこかズレている感じが伝わってくる。見どころの説明もイマイチわかりにくい上、本題である、何がどう貴重なのかも説明できていないのだ。
特に行きたい理由もない県としては、上位に名前が上がりがちな茨城県。これで心折れるのではなく、再認定に向けて本腰を入れてほしい。
(文=特別取材班)
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