吉本興業、5年分のギャラ踏み倒し!? 芸人が悲鳴を上げる「ブラック体質」を全告発!
国民的アイドルグループの解散や、朝ドラ女優のテレビ界追放などの出来事をきっかけに、大手芸能事務所の“ブラック体質”ぶりが盛んに報じられるようになった。芸能界では、よくいえば“常識にとらわれない”、悪く言えば“一般企業では考えられない”習慣がまかり通っていることは、いまや広く知れ渡っている。
しかし、芸能界全体の悪習が知れ渡る以前から「ヤバいらしい」とウワサされていた事務所といえば、吉本興業ではないだろうか。所属芸人自ら、バラエティなどで「ギャラが安すぎる」などとネタにしてみせる機会も多い。
そこで今回、吉本興業所属歴10年以上で、かつては複数のレギュラー番組を持っていた中堅芸人・X氏に、知られざる吉本の内情を聞いた。
■ギャラの取り分は「9:1」
――まず初めに、本当に吉本のギャラは安いのですか?
X氏(以下、X) ギャラの取り分は、有名な話ですが、吉本9割、芸人1割からスタートするので、安いでしょうね。業界最底値(笑)。
――歩合制の比率は、実績や年数に応じて変わる?
X もちろんそれはあります。また、CMや雑誌など、仕事先によっても取り分が変わるようですが、吉本から詳しい説明はありません。銀行で記帳して初めて「ああ、これだけ稼いでたんだ」とわかります。
――それでは収入の見通しを立てられず、生活が不安定になるのでは?
X だから、若手時代は必死にバイトをしていましたね。というか、スタート時にギャラが安いのはごく当たり前の話なので、それは仕方がないのですが、どうしても許せないことがあります。それは、マネジャーが請求書を処理してくれないことです。
――実働した分のギャラを、仕事先に請求してくれないということですか?
X はい。もちろんまったく行わない、というわけではないのですが、仕事が重なって忙しいマネジャーや、タレントとコミュニケーションがうまく取れていないマネジャーなどは、いくら催促しても請求書を出してくれないんです。当然、入金処理がなければノーギャラですよ。
――それは、Xさんの場合どれくらいの金額になりますか?
X 細かいものは数えるのもバカらしいですが、過去5年を遡っても、数十万単位、ヘタすれば100万円以上の金額になると思います。そこから吉本の売り上げ、芸人のギャラが生まれるわけで、つまり彼らは会社の利益を完全に損なっています。自分(マネジャー)の給料には反映されないかもしれませんが、商品であるタレント、さらには会社にまで被害を出すことが、平然とまかり通っているんです。
■意を決してマネジャーに催促するも……
――ちょっと理解に苦しみますが、なぜマネジャーは請求を行わないのでしょうか?
X 単純に忙しい、という部分はあると思います。ただ、すぐに清算できるはずの領収書さえ、机の中にしまいっぱなしという方が何人もいるのが、とにかく許せない。真面目な若手は「タテついて干されたら困る」と、泣き寝入りする者も多くいます。自分はすでに、マネジャーから嫌われてもいいと諦めていますが。
――それでは、よその事務所に移ろうと考える芸人も多くいるのでは?
X 事務所を移籍する場合、吉本には「活動を1年間謹慎する」という“ルール”があるので、誰も進んで移籍しようとは思いませんね。ただ、若手が晴れてテレビの仕事にありつけたのに、提示されていたギャラが何カ月たっても支払われず、意を決してマネジャーに催促したところ「局の担当者が異動になったのでわかりません」と突っぱねられていたのを見た時は、なんともやるせない気持ちになりました。売れっ子なら問題ないのかもしれませんが、常にカツカツの若手からすれば死活問題です。
――何か改善策はないのでしょうか?
X これは吉本の全若手芸人の総意だと思いますが、請求書の処理を行う専門の経理スタッフを、1人でも置いてほしいです。全部ちゃんと処理すれば、そのスタッフの人件費などいくらでもまかなえるはず。その方が絶対に吉本の得になります。
――芸人活動よりも、副業に精を出す芸人も多くなりましたが、その気持ちもわかりますね。
X こんなことが続いた結果、事務所を通さずに仕事をする芸人も当然増えました。しかし、最近は芸人の裏バイトをリサーチするスタッフが吉本内にいるらしく、バレて劇場から出禁を食らった、という芸人も。そこに金使うくらいなら、芸人に正規のギャラを出せよ! という話なのですが。
(後編へつづく)
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