編集方針は金正恩へのゴマすり……北朝鮮謹製! 2018年「自慢の逸品カレンダー」が味わい深い
#北朝鮮
傍若無人なミサイル発射を繰り返す北朝鮮が、2018年新作カレンダーを発行した。平壌の高層マンション街や映画俳優、朝鮮料理といった複数のジャンルが確認されているが、新テーマ「自慢の逸品」が出現し、マニアや研究者の間で話題になっている。缶ビールや革靴、シャンプー&リンスといった西側諸国ではあり得ないモチーフをドーンと掲載するあたり、「さすがは北朝鮮だ!」とマニアを唸らせているのだ。
企業の粗品として重用されるカレンダー。北朝鮮では国営企業の朝鮮出版物輸出入社が一括してカラー印刷し、国内外で販売される。わずかだが外貨稼ぎの足しになる上、1年にわたって国力をアピールできるため、毎年、変に気合いの入った仕上がりになる。
新テーマ「自慢の逸品」は縦長サイズで、1月は「開城(ケソン)高麗人参加工品」というオーソドックスな特産物からスタートする。故・金正日総書記の誕生日が赤字で図太く印字された2月は、松茸加工品だ。チンコケースみたいなガラス容器に入った松茸酒が異様に目立つ。その手前には「松茸抗がん免疫復活薬」……。日本だと薬事法か何かですぐに逮捕されそうな、詐欺っぽいネーミングだ。そもそも、秋が旬なのに、2月にくるセンスが不思議過ぎる。
3月は「春の香り」化粧品のセット。伝統的に美肌の多い北朝鮮女性が愛用する数少ないお役立ちアイテムだ。4月は「電子製品」。スマホや薄型テレビが北朝鮮にもあると必死にアピールする。
5月になって「平壌体育機材工場の製品」と、いきなり具体的な工場名が出てサッカーボールやユニホームが並ぶ。金正恩党委員長が肝いりで建設を指示した工場で、正恩氏も2016年6月に現地指導するため足を運んでいる。
6月は「龍岳山(リョンアクサン)石鹸工場製品の品々」で、シャンプーやリンスがどーんと出ている。7月の「靴」は元山(ウォンサン)にある靴工場が製造したモノだ。どちらの工場も近年に正恩氏が現地指導した報道があり、奇妙なアイテムが続々と登場する背景には「正恩氏への“ゴマすり”」という編集方針を読み取ることができる。
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