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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > “お約束の展開”のジャッキー映画
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.460

美女と冒険を愛するジャッキー魂は永遠に不滅!! お約束の展開が心地よい『カンフー・ヨガ』

ジャッキー・チェンが推奨する新しいエクササイズ『カンフー・ヨガ』。これであなたも元気はつらつ!

 お正月をジャッキーと一緒に過ごせる。映画好きな人間にとって、こんなに幸せなことはない。『男はつらいよ』シリーズの寅さんは遠くへ旅立ち、『007』シリーズのジェームズ・ボンドも初代ショーン・コネリーの頃とはずいぶん雰囲気が変わってしまった。映画館の暗がりの中で相も変わらず体を張って、観客を楽しませ続けているスター俳優は、もはやジャッキー・チェンぐらい。そんなジャッキーの最新主演映画『カンフー・ヨガ』は彼の陽性の魅力が存分に発揮された作品。世界興収はすでに290億円を突破し、ジャッキー史上最大のメガヒット作となっている。

『カンフー・ヨガ』というタイトルから分かるように、本作は中国とインドとの合作映画。近年の目覚ましいインド経済の成長とボリウッドパワーをしたたかに取り入れる、商魂たくましいジャッキー師匠。さすがです。中国とインドはカシミール紛争やら弾道ミサイル配備問題もあり、国家レベルでは仲が悪いんだけれど、そこは「アクション映画に国境はなし」を謳うジャッキー映画。香港映画が培ってきた小気味よいアクション&テンポと、インド映画ならではの数百年にわたる壮大な恩讐劇とド派手なミュージカルシーンをミックスさせた一大エンターテイメント絵巻に仕立ててみせている。

今回のジャッキーガールは、ミスインドの元インドール代表ディジャ・パタニ。ボリッドダンスとヨガが得意。

 今回、ジャッキーが演じるのは中国・兵馬俑博物館に勤める著名な考古学者にして、なぜかカンフーの達人でもあるジャック。そんなジャックのもとに、インドから超絶美女のアスミタ(ディシャ・パタニ)が古い地図を持って訪ねてくる。かつて天竺(インド)と唐(中国)は友好だった時代があり、その友好の印である秘宝の在り処を古地図は示していた。美女と冒険に目がないジャックは、さっそく助手のシャオグァン(レイ)やトレジャーハンターのジョーンズ(アーリフ・リー)たちを連れて、シルクロード奥深くへと出発。ところがインドの大富豪ランドル(ソーヌー・スード)もこの秘宝を狙っており、崑崙山脈、さらにはドバイ、インドへと目まぐるしく舞台を移しながらのお宝争奪戦が繰り広げられる。

 トレジャーハンター役は『李小龍 マイブラザー』(10)で若き日のブルース・リーを演じたアーリフ・リーに譲っているけど、ジャッキーが“アジアの鷹”を演じた『プロジェクト・イーグル』(91)あたりと、まぁよく似た内容です。スタンリー・トン監督は、ジャッキーとは『ポリス・ストーリー3』(92)、『レッド・ブロンクス』(95)、『THE MYTH/神話』(05)など度々組んできた仲だけに、アクションシーンを若手に振りながらも、美味しいところはしっかりジャッキーに回すという阿吽の呼吸ぶり。ハズレのないおみくじを引くような安定感で、まさにお正月映画にぴったり。

 氷河に覆われた崑崙山脈での宝探しシーンはアイスランドロケを敢行し、ドバイではランボルギーニやフェラーリなどのスーパーカー合計70台を使ったカーチェイスで火花を散らし、見どころ満載な本作。でも、いちばん盛り上がるのは、やっぱりジャッキーの肉体を駆使したアクションシーン。伝説となっている『プロジェクトA』(83)の時計台からの落下や『WHO AM I?』(98)の高層ビルでの滑走のような命懸けなスタントはさすがにないものの、現在63歳とは思えない抜群にキレのあるカンフーアクションを見せてくれる。序盤の木人を相手に体馴らしをするシーンなんか、長年のファンはぐっと来てしまいますね。カンフーの奥義を披露してくれるクライマックスも、もちろん見逃せません。

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