大みそか『紅白』の裏は今年もマンネリだが……“台風の目”はテレ東!
#NHK #紅白 #テレビ東京
大みそかの夜の楽しみのひとつといえば、各局が全勢力を注ぎ込んだ特別番組を見ることだろう。昨年の『第67回NHK紅白歌合戦』の視聴率は第1部が35.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2部が40.2%で、多くの視聴者の関心が『紅白』に集まるのは揺るぎないところ。今年は安室奈美恵、桑田佳祐の出演も決まり、昨年以上の視聴率も望めそうな雰囲気だ。
一方、反『紅白』の視聴者が多いのも事実で、民放5局が、残されたパイを奪い合うことになる。だが、今年は限りなくマンネリ感が漂っている。
日本テレビは12年目を迎えた『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 大晦日年越しスペシャル 絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』(午後6時30分~深夜0時30分)を放送する。マンネリを叫ばれながらも、昨年は第1部で17.7%、第2部で16.1%をマークして、7年連続で『紅白』裏の民放トップの座を守った。他局とは大差がついており、今年も『ガキ使』が民放首位に立つのは間違いないだろう。
7年目となるTBS『KYOKUGEN2017』(午後6時~11時35分)は苦しいところ。同番組では例年、プロボクシング・井岡一翔の試合を中継していたが、当の井岡が世界王座を返上し、試合ができない状況に陥った。代わりに、田口良一VSミラン・メリンドのWBA・IBF世界ライトフライ級統一王座戦など、プロボクシング3大世界戦を中継するが、井岡と比べると、注目度が低すぎ。また、一昨年、昨年と元K-1戦士・魔裟斗の試合を生放送したが、それもなし。2つの目玉を失った同番組では、引退したフィギュアスケーター・浅田真央の演技や、ボブ・サップVS野獣クマなどをオンエアするが、苦戦は免れそうにない。
テレビ朝日は『くりぃむVS林修! 年越しクイズサバイバー2017』(午後6時~深夜1時)を4年連続で放送。昨年は最高でも7.1%(第1部)しか取れなかった。企画自体に変化がないだけに、2ケタに乗せるのは至難のワザだろう。
フジテレビは3年目となる『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND PRIX 2017 バンタム級トーナメント&女子スーパーアトム級トーナメント 2nd ROUND&FINAL ROUND』(午後6時30分~11時45分)で勝負。昨年は第2部の7.1%が最高だったが、格闘技ファンではない一般層に訴えられるカードがないのが痛いところ。世間に響きそうなのは、ミルコ・クロコップVS高阪剛、ギャル・ガルシアVS神取忍くらいなもの。あとはお笑い芸人・野沢直子の娘である真珠・野沢オークライヤー、RENA、那須川天心、才賀紀左衛門らの試合で、どこまで視聴者を引きつけられるかがポイントになりそう。
民放4局が例年通りを押し通す中、テレビ東京だけは変化してチャレンジする。昨年は『ウソのような本当の瞬間!30秒後に絶対見られるTV~大みそかは、世界の果てでお風呂に入ろうSP』と、田口良一、内山高志のW世界戦を中継した『大晦日ボクシングスペシャル THE BEST OF BEST』を放送したが、『ウソのような本当の瞬間!』は2.5%、ボクシング中継は3.9%と爆死。それもあって、今年は大みそか恒例の『第50回年忘れにっぽんの歌』(午後4時~10時)と『孤独のグルメ大晦日スペシャル~瀬戸内出張編~』(午後10時~11時30分)をオンエアする。
『年忘れにっぽんの歌』は、同局が1968年から大みそかに放送している歴史ある番組。14年までは『紅白』裏のゴールデン帯でオンエアされ、11年には8.0%を獲得し、『ガキ使』に次いで民放2位になったこともある。15年からは夕方の放送だったが、50回目の区切りとあって、3年ぶりにホールデン帯に復活する。過去の実績があるだけに、日テレ以外の民放局には要注意な存在になりそう。
『孤独のグルメ』は、12年から放送されている、松重豊主演のグルメドラマ。好評なことから、連ドラとして、シーズン6までオンエアされ、今年1月2日には正月特番が放送された。大みそかの夜にドラマが流れるのは異例中の異例だが、固定ファンが多い番組だけに、食われる局もありそうだ。
総じて、『紅白』の裏は、『ガキ使』の独走に変わりはないだろうが、テレ東が“台風の目”になる可能性は十分だ。
(文=田中七男)
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