テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2017年のテレビ事件簿【バラエティ編】
#バラエティ #テレビ裏ガイド #てれびのスキマ
■各局、各時間帯を活性化する有田哲平
17年は有田哲平の活躍も忘れられない。まさに円熟期に入り、一時代を築き上げている。
ゴールデンタイムの『しゃべくり007』(日本テレビ系)ではスターたちを相手にボケまくり、『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)では「報道番組」のテイで、中堅芸人をムチャ振りで追い込み新たな魅力を引き出す。深夜の『有田ジェネレーション』(TBS系)では、まだ無名の若手に光を当て発掘、『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日系)では、自らさまざまな企画を生みながらプレイヤーとしても番組を盛りたてる。ネット番組でも『有田と週刊プロレスと』(Amazonプライム)で、豊富なプロレス知識を活かした巧みなトーク術を見せつけている。
お笑い番組が作りにくい時代に、各局・各時間帯で、種類も相手も角度もさまざまなお笑い色の強い番組を安定して放送しているのは、驚異的だ。さらに今年は、ドラマ『わにとかげぎす』(TBS系)にも主演。うだつのあがらない中年男性を見事に演じきった。まさに全方位的な活躍だった。
特に『脱力タイムズ』は、回を追うごとに凄みが増してきている。基本的にはゲストの中堅芸人と綿密な打ち合わせをしつつ、それをさまざまな形で無視してぶち壊し、困惑させていくという形式。だから、それほど多くのパターンはないだろうと思い、短命に終わるのではないかと思っていた。だが、それは杞憂に終わる。次々と予想の斜め上に行き、毎回驚かせてくれるのだ。いまや、出口保行、五箇公一ら解説員は独自進化を果たし、ナレーションで起用された滝沢カレンは破壊的日本語で大ブレイクを果たした。
有田は、若手から中堅の芸人はもちろん、芸人以外のジャンルのタレントの新たな魅力を引き出し、現在のテレビを活性化させている。
今年はネット番組が、バラエティのジャンルでも本格的に“始まった”年と言えるだろう。それまでは地上波の番組よりも“格下”で、低予算というイメージだったが、昨年末から始まった松本人志による『ドキュメンタル』シリーズを皮切りに、浜田雅功の『戦闘車』、野性爆弾の『ザ・ワールド チャネリング』、前述の『有田と週刊プロレスと』(以上、Amazonプライム)やNetflixでは明石家さんまのロングインタビューがCMとして制作された。AbemTVでは『おぎやはぎの「ブス」テレビ』、『日村がゆく』、『フジモンが芸能界から干される前にやりたい10のこと』、『必殺!バカリズム地獄』など数多くのオリジナル番組が作られている。さらに、ジャニーズ事務所から退所した香取慎吾、稲垣吾郎、草なぎ剛による「新しい地図」が『72時間ホンネテレビ』を放送し大きな話題となった。
これらに共通するのは、出演者も作り手も地上波の第一線で活躍する人たちだということだ。つまり、よく敵対構造で語られがちなネット番組だが、実際はそうではなく、テレビと地続き。視聴者にとってもタレントやテレビマンにとっても、テレビの可能性や楽しみ方が広がっただけなのだ。
いわば、テレビは第二の創世記を迎えたのだ。
そんな新たな時代を迎えたテレビがどのような進化を遂げるのか。18年はその試金石になりそうだ。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)
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