南極が危ない! 中国初の商用旅客機着陸で懸念される観光客“爆流入”と“自然破壊”
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12月16日、南極大陸の地に1機の飛行機が降り立った。なぜか中国メディアは、これを大きく取り上げた。この飛行機は香港を飛び立ち、南アフリカのケープタウンで補給したあと、5時間半かけてこの最果ての地までやってきたのだという。
意外なことに、南極には20もの空港があり、飛行機が離着陸できるようになっている。だから香港からの飛行機が南極に着陸したこと自体は、大したことではない。だが、通常そこに降り立つ人たちは、ほとんどが研究者限定だ。中国メディアが大きく取り上げたのは、その飛行機が商業用旅客機で、22人の中国人観光客が搭乗していたからだったのだ。中国人の乗客たちはその後、小型飛行機に乗り換えて南極大陸の上空を飛び、南極点にまで達したという。
中国経済が発展して以降、世界各地に中国人旅行者が観光旅行に出かけるようなっているが、南極大陸にもその波は押し寄せており、2016年には、のべ3,944人もの中国人観光客が白い大陸の地に足を踏み入れている。この数は、アメリカ人観光客に次いで、世界で2番目に多いという。
通常、観光客が南極へ行くにはアルゼンチンにある港から船に乗って向かうのだが、商用旅客機が南極に行けるようになると、さらに多くの中国人観光客たちが押し寄せてくる可能性がある。実際、中国メディアが今回のニュースを大きく取り上げたのも、今後、飛行機で行く南極へのツアー旅行が始まるのではないかと期待してのものだった。
だが中国人観光客といえば、世界各地を我が物顔で闊歩し、地元の人たちの迷惑も顧みずに好き勝手なことをすることで悪名が高い。杞憂は現実のものになっており、すでに南極で一部の中国人観光客によるルールを無視した行動がヒンシュクを買っているという。その“被害”に遭っているのは人間ではなく、南極に住むペンギンたちである。
2015年3月に本サイトでは「“恥さらし”中国人観光客が南極に大挙上陸中! 条約無視の大暴れで、観測隊も大困惑……」(https://www.cyzo.com/2015/03/post_20962.html)というニュースでもお伝えしているが、南極にはさまざまな規制があり、ペンギンなどの野生動物にむやみに近づくことが禁止されている。
にもかかわらず、中国人観光客たちはペンギンを追いかけたり、群れの中に入って記念写真を撮ったりしているのだ。
もし中国からの商用旅客機による南極旅行ツアーが始まれば、その状況がさらにひどくなる可能性は高い。当の中国人ネット民でさえ、中には「地球のためには、科学研究以外では、旅行者が南極に行くことを禁止すべきだ」という意見を言う者もいるほど。
南極に残る自然は、人類全員の貴重な財産だ。それらがこれ以上、蝕ばまれなければいいのだが……。
(文=佐久間賢三)
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