星野源が初めて笑った……!『コウノドリ』最終回の充実ぶりと“シーズン3”への期待
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鴻鳥は小松に言われ、ペルソナが自分の家族だと気づかされる。孤児の鴻鳥に親も兄弟もいない。夕日が差し込む部屋で抱きしめあう3人。
少し前に屋上で下屋に「鴻鳥先生はずっとペルソナにいますよね?」と問われた時に鴻鳥は何もいわず遠くを見ていた。「もしや、鴻鳥も……?」と思いかけたが、あの時何を思っていたのか。
白川も講談医科大にいくため新生児科に別れを告げ、ロビーで会った下屋に「お前がいたから今までやってこれた」と事実上告白とも取れる発言をするが、下屋はそれには答えず大声で、何かを吹っ切るように「白川ー! 頑張れよー!!」とエールを送る。
「お、お前もなー!」去っていく白川を目で追う下屋は、一瞬顔を歪める。安易に恋愛に発展しない若駒同士の関係が美しい。
鴻鳥と四宮のラスト2ショットは屋上で。
「ちゃんと野菜たべなきゃだめだよ」とお母さんみたいな鴻鳥。
「お前にいわれたくない」と彼氏のような四宮。2人ともカップ焼きそばとジャムパンだけで暮らしてそうだから、見ているこっちが心配になる。
「ペルソナは任せろ」と力強く四宮を送り出す鴻鳥に、四宮は自ら手を出し握手を求めた。シーズン3があるのかはわからないが、2人の関係は今後も変わらないだろう。
■4カ月後・エピローグ
・高山夫妻は無事女の子を出産。子どもの心臓は今の所問題なく、子どもが可愛くて仕方がない様子だ。
・小松は新しい職場を作るため内装業者に相談、若干、恋の予感も!
・能登で父の跡を継ぎ、働く四宮は、マイペースでおおらかな地元の患者にも今まで通りの四宮として接しつつも充実してる様子。そこに現れたのは、地域医療研修医として派遣されてきた赤西吾郎(宮沢氷魚)。
「サクラのやつ……」とフィクサー鴻鳥の差し金を見破る四宮。「邪魔はするなよ、ジュニアくん」という第一回と同じ皮肉に対し「体当たりで学ばせてもらいます、ジュニア先輩」と言い返す成長した赤西。
これに、ぷっと吹き出して笑う四宮。このシリーズ通して、初めて見せる四宮の笑顔。しかも笑い方が素すぎて一瞬NGなのかと思ったほど。いや、正直あれはNGでもいいのではないかと今でも思っているほど、「らしくない」笑い方だった。気をとりなおして「ついてこい」とカッコつける四宮。この続きをスピンオフでぜひ見たい。
■シーズン3は……?
今シリーズでは、妊婦や家族だけでなく医師やスタッフの苦悩が多く描かれた。特に後半はその進退にからめて、毎回誰かが一人減り二人減りという状態。まるで『バトルロワイヤル』だ。
オリジナルの話を生かしつつ、レギュラーメンバーそれぞれの苦悩も丁寧に描き、さらに第10話ではほぼオリジナルで「新型出生前診断」の問題に切り込むなど、構成や脚本も複雑に練られたものだった。
第1話で鴻鳥が隠岐の島に行く設定にあまり意味を感じなかったのだが、ここにつながってくるとは。意味を感じなかったことをお詫びしたい。
今回見終わって気になったのは、鴻鳥の裏の顔が人気ピアニストBABYであるという必要性がほぼなくなっていたことだ。
前シーズンでは、クライマックスで正体を記者に嗅ぎ付かれつつも、それを記者の良心で記事にせず、ことなきを得るなど、最後まで意味を持っていた設定だが、今回は正直なくてもいいような場面でピアノを弾くシーンが挿入されたり、意味なく患者がBABYのファンで動画を見るシーンが加えられていたり、かといって本筋に一切かかわらなかったりと、設定を持て余しているように見えた。
これは原作でも、その設定の「旨味」を使いつくしぎみな傾向が見られるので仕方がないことなのかもしれないが、BABYと交流のある米国の人気歌手(アレサ)が来日中に鴻鳥に助けられる話など、何か一つ鴻鳥がBABYである意義を入れて欲しかった。
しかし裏を返せば、今回は「実は人気ピアニスト」という奇抜な設定が入る余地がないくらい、王道の詰まった内容だったということでもある。
続編を期待する声も多そうだが、思ってた以上にメンバーが散り散りになってしまい、裏の要だった小松までも出て行ってしまったので、果たしてどうなるのだろうか。しかし、故郷の慣れない地で揉まれる四宮の話はぜひ見てみたいし、新天地で輝く小松や白川も見てみたい。もちろん「家族」の一部と離れ「家」を守る鴻鳥母さんの寂しそうな顔も気になる。
シーズン3とまでいかなくてもそれぞれの活躍を描くスピンオフはぜひとも作っていただきたい。
(文=柿田太郎)
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