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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 昼間たかしのルポで振り返る2017年

【昼間たかし】話を聞いているだけじゃ見えてこないものがある。ルポルタージュで振り返る2017年

●「ガイナックスのコンテンツならなんでも使える」と豪語!? 渦中の「神戸アニメストリート」岸建介氏の手口と次の寄生先も発見!
http://otapol.jp/2017/04/post-10331.html

 マンガやアニメが地域振興の目玉となり、<聖地巡礼>が話題になる昨今。これも、起こるべくして起こった事件だといえる。

 正直なところ、小はプロデューサーの仕切りがグダグダだった話から、大はイベントの成否よりも、地元企業に資金をいかに分配するかのほうに力点が置かれた結末等々、失敗例は数多く聞く。

 そして、そのことは巧妙に隠蔽され、知られることは少ない。この事件は、ことが明るみになっただけ、まだマシだといえるだろう。

 何しろ、行政が絡んでいるとなれば信用度は上がる。そうそう悪人がいるとは、誰もが思いたくないものだ。

 この文章の際には取材に応じることもなく電話を切った武田康廣も、また被害者。岸が取締役に名を連ねていることに気づいた人物が、すぐに武田に連絡したところ「え、これからGAINAX WESTの記者会見なんだよ……」という最悪なタイミングだったという。

 当の岸は、すでに新たな店舗をオープンさせていることを幾人かから聞いている。でも、今のところは、そこを訪ねてみる気にはならない。なぜなら、被害にあった当事者に先んじて正義を追求するのは、物書きの仕事ではないと思うからだ。

 

●29万票の金利~山田太郎と「表現の自由」の行方
http://otapol.jp/2017/07/post-11040.html

 書いた後で考えたのは、冒頭のアイスクリームを食べている自身の描写。

「オッサンがアイスを食べてる描写などいらぬ」などと批判的な感想が半分。「アイスの描写で引き込まれる」と絶賛が半分。

 つまり、自分でもどちらがよいのかわからない。ただルポルタージュやノンフィクションという文章では当たり前の「私」や「ぼく」という主観的な書き方を、ネット媒体では、新鮮に感じる人が多いのだと思った。

 毎日取材しているわけではないが、山田太郎の取材には、だいたい5年。そして、選挙の取材から1年も寝かせてしまった。その間も、今もなお29万票の金利は残っているように見える。

 では、次に山田が選挙に立った時、私は取材をするだろうか。

 そのことの答えは、まだ出ていない。

 

●新作『女装千年王国』も大好評! 西田一が語る、ただひとつの“愛の物語”
https://www.cyzo.com/2017/10/post_34930_entry.html

 世には、変態だとかニッチだとか呼ばれるジャンルがいくつもある。男の娘というジャンルも、その一つだ。

 人は、そこにどういう感情を抱くだろうか。口では貶しながらも、実は羨ましさを持っているのではないか。

 そこの世界に足を踏み入れることは、とてつもない決意と覚悟がなくては、できないことなのだから。

 そして、そこに至る人生の旅はさまざまだ。

 無数の旅路の一つで、乗り合わせた客のつもりになり、この掌編を仕上げた。女装エロゲーに人生を賭けた西田の旅路は、どこへ続くのだろうか。また、旅路を共にしたいと思っている。

 

●「アダルトグッズ+催眠音声」の可能性を追求するトランスイノベーションへの誘い
https://www.cyzo.com/2017/10/post_34820_entry.html

 まさかここまで人生を賭けて、情熱を注ぎ込んでいるなんて。そんな感動を伝えるためには、まず自分のことを書かなくてはならないと思った。自分自身が、いかに催眠音声を楽しんでいるのか。取材の時から、そのことを大いに話した。そうでなくては、取材が、上から目線の覗き見になってしまうと思ったからだ。そして文章も同様。

 別に自分の楽しんでいるものを、恥ずかしがる必要はない。むしろ、今の楽しさの、その先を求める探究心は誇るべきものではないか。そんなことを考える機会となった。

 

●なぜ、人はそこに集うのか? 新店舗には喫茶ルームもできた「カストリ書房」に、サウダーデを見た
https://www.cyzo.com/2017/09/post_34442.html

 2016年のオープン以来、さまざまなメディアに取材されているカストリ書房。

 訪問する前に、これまでカストリ書房について触れた幾つもの文章を読んだ。そして「なんだこれは?」という気分になった。多くのメディアの文章では、カストリ書房、そして、遊郭が女性にブームとなっている背景として「豊かな時代への憧れ」などの、わかりやすい言葉を用いていた。なるほど、それはわかりやすいかもしれない。けれども、そんな総括には、綺麗にまとめただけの上から目線を感じた。

 僅かなインタビューの時間で、さまざまなものが見えてきた。カストリ書房がもてはやされる理由。その根底には、間違いなく店主の渡辺豪の人となりがあるのだと思った。

 状況を描くのではなく細部を描写するルポライターの矜恃を改めて考えた。

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