「別れさせ屋」「スクープ記者」を完全再現!『99%ノンフィクション』で、逆に浮かび上がった“狩る側のリアル”
#テレビ朝日 #ドキュメンタリー
23日深夜、テレビ朝日で、少し変わったタイプのドキュメンタリー(風)番組が放送された。『99%ノンフィクション』と題されたこの番組は「ワケあって世間に顔を出せない人物を役者が演じ、その実態を完全実写化するというノンフィクションに限りなく近いドキュメンタリー番組」とのこと(MC談)。
あえて雑に言わせてもらうならば、顔を出せない特殊なプロフェッショナルたちの仕事っぷりを、多少豪華な役者を使って再現VTRにして見せる番組だ。
しかし、この番組が他の再現ものと違うのは、プロフェッショナル本人から「再現VTR」の元となるエピソードを聞き出すインタビュー取材の部分も役者が再現をし「密着ドキュメンタリー風」に演じて見せるというところだ。最近日本でも増えてきたフェイクドキュメンタリーの一種と言えるかもしれない。
役者は、元となる取材映像を事前に「顔出し」で見ており、それに寄せて役作りをしているので、普通はモザイクがかかるはずの表情がわかり、見やすくなる。
同じように顔出しできないディープな状況の人物を紹介する番組『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)が、対象をぬいぐるみとしてキャラクター化し、表情を見えるように(見えているかのように)したのに対し、この番組は影武者に対象を演じさせ、模倣とはいえ本物の表情を与え可視化した。
そして、ネタ満載な職種にもかかわらず、過剰な演出やドラマ仕立てにはあえてせず、どちらかというと、その変わった仕事内容を淡々とドキュメンタリータッチで見せることで、その特殊性を浮き立たせ、さらにそれらを当たり前のように語る人物そのものに焦点が当たるようになっている。
今回焦点が当てられたのは、2組の特殊なプロ。
■数百組の男女を別れさせた「別れさせ業」工作員
この仕事は、依頼されたターゲットに近づき、男女関係を壊すプロ。「別れさせ屋」という仕事があるとのウワサくらいは聞いたことがあるかもしれない。多いのは不倫や浮気がらみの案件で、今回もある妻(依頼主)からの、「夫が不倫してるから相手の女性と別れさせて、元の結婚生活に戻してほしい」という依頼。
探偵や興信所なら実態を調査し、報告して終了なのだが、「別れさせ屋」は実際にターゲットに接触、あの手この手で「別れさせ」を実行、もちろんそれが依頼主の差し金であることに気付かれることなく秘密裏に行わねばならない。
「依頼主から吸い上げた情報を元にして、対象に合わせた効果的な作戦を立て、私たち工作員が近づいて……」
女優・相楽樹は、この工作員歴7年だという橋本未来(仮名・27)になりきってインタビューを受け、取材されているがごとく仕事内容を説明する。
このあと実際に、どのようにターゲット(夫)に接触し、不倫相手と別れさせたかという手口が、インタビュー取材を元にした「密着ドキュメンタリー風」で再現されるのだが、相楽演じる橋本以外にはモザイクがかかったり、時に隠しカメラの映像っぽく撮影するなど、リアルな臨場感がよい。
・ターゲット(夫)と不倫相手の女性がデート中のスポーツバーに入店、試合の盛り上がりに乗じて、さりげなく会話する(ただし女性側としか話さない)
・後日、その女性だけを誘って飲みに行き、そこに仲間の工作員である男性(おそらくイケメン)を連れて行き、その女性とくっつくように仕向ける
・その女性の気持ちを完全に工作員の男性に向けさせ、ターゲットの夫から「剥がす」ことで、夫は妻のもとに戻る
という段取りらしい。
途中途中で、実際に橋本本人が取材で語った内容を、相楽がなりきって語る様子が差し込まれたりして、まさにドキュメンタリーぽい。
「これって今回は失敗なんですか?」
「いえいえ、全然失敗じゃないですよ、私、今まで失敗したことないですから。大門未知子(ドクターX)じゃないですけど(笑)」
「女性としか話してませんでしたよね?」
「だって今回は女性の方と仲良くなる目的だったんで。今回、私は橋渡し的な、つなぐ役割ですね」
冗談の入れ具合が生々しいのは、まさに本人がインタビューで語ったままを台本に入れ込んでいるからだろう。時折、本人(モザイク付き)のインタビュー取材時の映像も差し込まれるが、同じようなことを言っている。
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