芸人をセンスで判断しない『くりぃむナンチャラ』新企画 答えをピークにしない大喜利の楽しみ方
#お笑い #テレビ朝日 #くりぃむしちゅー
■センスあるロッチ・コカドの考えた答えを中岡作と読み誤り、「浅い」と酷評するくりぃむ・有田
逆に、「センス側」と「ウンコ側」のどちらによるものかわかりにくい回答も登場している。
お題:「日本のお寺を出禁になった外国人 一体何をした?」
答え:「お参りの仕方が2礼2拍手2ブレイクダンス1礼」(ロッチの「センス側」コカドが回答)
この答えについて、くりぃむ有田は「“2礼2拍手2~”の中に何かを入れる時、ブレイクダンスにするかね。もっと具体的なものにするんじゃない?」と予想したものの、ロッチの「ウンコ側」中岡は「ウンコだと“2礼2拍手”という言葉を大喜利の答えに持ってこれないですよ!」と断言する。
実はこのゲームの“目利き”として中岡は達人的な判断力を持っており、言ってる内容には説得力が溢れている。しかし、よく考えると自身のセンスの無さを力説していることにもなり、芸人としてはあまりにも哀しい。
お題:「日本のお寺を出禁になった外国人 一体何をした?」
答え:「出家中のお坊さんにマックを差し入れしたから」(トレエンの「ウンコ側」たかしが回答)
この回答がたかし考案によるものと見破ったのはロッチ中岡だが、正解にたどり着くまでは難産だった。彼は「“お坊さんにマックを差し入れしたから”はウンコのものやねん。でも“出家中”っていう言葉は、多少センス頑張っちゃってんだよな……」という悩み方をするのだ。考えの巡らせ方が常人には計り知れない。「ウンコはウンコを知る」とでも言うべき境地だろうか。
■大喜利の答えの面白さは、ここでは二の次
この企画が新しいのは、大喜利の答えを笑いのポイントに置いていないところにある。かつて、糸井重里は「『笑点』で座布団をもらえるような面白さがつまんないとわかっちゃってからの面白さは本当に難しい」と発言していたが、今回はそのレベルを遥かに超えている。
フジテレビの人気番組『IPPONグランプリ』が存在する最中、いい答えをまるでありがたがろうとしない。スベって外したところを笑いにするというヤマっ気すらない。事実、今回の番組内で答えが出た瞬間に起こった笑いは皆無だったのだから。
それより、「センス側のくせに、この答えは何?」「ウンコ側にしては頑張ってる」と予想しながら語り合う。“人となり”と“過程”を重視して行う遊びが、「UNKOダウト」なのだ。このゲームでは、センスある人間も必要だし、ウンコなセンスの持ち主も絶対に必要。
加えて、感性でクラス分けされることがないのでヒエラルキーも出来上がらない。読みが深い「ウンコ側」(今回で言えばロッチ中岡)がMVPを奪ることだってあり得る。
とかく競技化されがちな昨今の“笑い”だが、それとは真反対を行く「UNKOダウト」は至極心地がいい。「ウケないことすら“笑い”に変える」(すべり笑いとは別物)という芸人の原点に帰着したと感じたのは、私だけではないはずだ。
(文=寺西ジャジューカ)
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