“クドカン天才説”撤回! 『監獄のお姫さま』最終回は、やっつけ仕事で不満の残るラストに
#ドラマ #菅野美穂 #TBS #満島ひかり #坂井真紀 #小泉今日子 #伊勢谷友介 #宮藤官九郎 #どらまっ子 #大羽鴨乃 #森下愛子 #監獄のお姫さま
追い詰められた吾郎は長谷川との問答の中で、「(ナイフの)鞘は海に捨てた」と失言。しかし、鞘にはわざわざプリンスの指紋を付着させたはずです。なぜ捨てる必要があったのか? となり、実際には自身がユキを殺害し、その際に鞘に指紋を付けてしまったため海に投げ捨てたことを告白。その瞬間、カヨたちの念願叶い、しのぶの無実が明らかになったのでした。
その後、しのぶはひとり息子の勇介と再会を果たし、EDOミルク社の社長に就任。カヨは千夏の専属メイクになり、明美は死んだ夫が組長を務めていた指定暴力団の“姐御”に、洋子は女優に、ふたばは女子刑務所に再就職と、それぞれの道を歩み始めたところで終了となりました。
前回、第1話の勇介&吾郎誘拐シーンの舞台裏を明かすことで見事な伏線回収をやってのけたクドカンですが、ドラマの盛り上がりはそこがピークだったようです。結局は吾郎が真犯人だったという、何のひねりもないラスト。前回のレビューで書いたクドカン天才説は撤回したいと思います。少なくとも、事件の真相究明の部分はやっつけ仕事にしか感じられませんでした。
例えば、今回のストーリーで大どんでん返しにもっていくとしたら、吾郎が犯人じゃないという展開が一番有力ですよね。しのぶが真犯人でカヨたちを騙していたかあるいは二重人格だった、晴海が真犯人、ユキの自殺……。いくらでも選択肢はあったと思います。
吾郎が真犯人でもそれはそれで構わないのですが、問題なのはナイフにプリンスの指紋を付着させた証拠映像。6年前になぜ警察は気づかなかったのでしょうか。しのぶのヘルメットに設置されたカメラの映像はチェックしたのに、吾郎の方はスルーというのはおかしいですよね。タイ語で会話してるから気づかなかったとか、しのぶがすぐに自供したからよく調べなかったとか言い訳めいたことがカヨたちの会話の中にチラッと織り込まれていましたが、まったく説得力がありません。
真相追及の部分がないがしろにされてしまったため、しのぶがカヨたちに感謝の気持ちを伝えたり勇介との再会を果たすなど、本来なら感動的なはずの場面も感情移入できず。前回から期待値が高まっていた分だけ落胆が大きくなってしまい、残念な幕引きとなってしまいました。ただ、おばちゃんたちの鈍くさくも愛らしいキャラやワチャワチャ感を描くクドカンの手腕は秀逸だっただけに、同じキャストでの再結集に期待したいです。
(文=大羽鴨乃)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事