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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 日向先生が最後に向き合うのは?

犯人探しをやめた日向先生が最後に向き合うのは? 実質的な最終回となった『明日の約束』第9話

 日向先生の勤める高校はいじめが横行する悪の巣窟として世間からのバッシングに遭っていましたが、人気女性タレントが不倫した挙げ句に殺人を犯した事件が話題となり、マスコミもネット民もあっさりと興味の鉾先を変えてしまいました。嵐は過ぎ去ったようです。日向先生は英美里から頼まれて、小嶋記者(青柳翔)のいる「週刊ワイド」編集部へと向かいます。圭吾の母・真紀子が息子の部屋を盗聴していた音声データを預かるためでした。圭吾の肉声が残されているこの音声データは、最終回の重要なツールになりそうです。

 日向先生の前ではいつもメガネをして、タバコをくゆらせている小嶋記者ですが、どうやらこれは伊達メガネのようです。カウンセラーである日向先生に自分の内面を読まれないようWARUぶってみせている小嶋記者ですが、圭吾が自殺した原因は、母親である真紀子ひとりの責任ではないことに気づいている数少ない人間でした。高校を退学になる寸前だったバスケ部・長谷部(金子大地)の窮地を救ったのも、小嶋記者の取材力のお陰でした。日向先生と小嶋記者はもっと違う形で出逢っていれば、仲良くなっていたのかもしれません。

 

■向き合うのではなく、横に並ぶという気づき

 

 警察の捜査網をかいくぐり、逃亡生活を送っていた香澄(佐久間由衣)が久しぶりに日向先生の前に現れました。最後に霧島先生を襲うつもりだったけど、もうやめたと日向先生に告げます。圭吾が亡くなってから、ずっとこの問題に向き合ってきた2人は、話しているうちにある事実に気づきます。圭吾を死に追い詰めた真犯人を探し出しても意味のないことだと。結局、犯人探しは誰かひとりに責任を負わせ、自分は無罪であると思い込みたいエゴでしかないのだと。自分には関係がない。家庭の問題には口が出せない。学校教育の在り方に問題がある。みんながみんな責任回避する、そんな社会の歪みの隙間から、圭吾は暗い世界へと堕ちていったのかもしれません。

「うまく言えないけど、誰のせいで吉岡くんが死んだのかという考え方は間違ってた気がする。私のやるべきことは犯人探しじゃない」

 それが、日向先生が3カ月間かけて導き出した答えでした。警察に自首するという香澄に付き添った日向先生は、校長先生(羽場裕一)に霧島先生が裏で暗躍していた事実を報告し、そのことを裏付けるパソコン上の記録も提出します。自分がやった悪事の数々を細かく記録していた霧島先生の几帳面な性格が災いした格好です。日向先生は圭吾から自殺前夜に告白されていたことも校長に打ち明け、退職願を出すのでした。一緒に退職するはめになった霧島先生は怒りを通り越して、日向先生の手際のよさを褒めたたえます。

 自宅に戻った日向先生は、母親である尚子に対し正面から向き合うのではなく、キッチンで横に並んで一緒に夕食の準備を始めます。「ひなちゃん、昔からシチューが好きだったわよね」という母親の言葉に、この日の日向は笑顔で応えることができたのでした。

 せっかく第8話で6.0%まで回復した視聴率ですが(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第9話は5.1%とまた下降してしまいました。でも、日向先生のやるべきことが犯人探しではなかったように、『明日の約束』が求めていたものも視聴率ではなかったのではないでしょうか。

 第9話のラスト、愛する息子・圭吾が自殺した部屋で、圭吾と同じようにロープを手にして佇む真紀子。息子が味わった孤独感と苦しみを真紀子も体験しようとします。最終回、さらに地獄の底へ堕ちていこうとする宿敵・真紀子を、日向先生は果たして救うことができるのでしょうか?
(文=長野辰次)

最終更新:2017/12/19 17:00
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