クセが強すぎる! 昭和のレジェンドレスラーを描く『プロレススーパースター列伝』とは?
#マンガ #コミック #ザオリク的マンガ読み
本作品で大きくフィーチャーされている、初代タイガーマスクのエピソードも演出過剰すぎて目が離せません。タイガーマスクはデビュー前、メキシコの秘密養成所でプロレス修行を積んでおり、火の輪くぐりをしたり、マットが鉄板で電流が流れている、そんなリングでスパーリングしたり、ガラスの破片がちりばめられたサンドバッグでキックの練習をしたり、トゲのついたバーベルを持ち上げたり……などの拷問スレスレの特訓をして強くなったと紹介されています。今考えると、ほぼ原作マンガ『タイガーマスク』(講談社)の悪役レスラー養成機関「虎の穴」のエピソードと一緒で、あまりに出来すぎなのですが、連載当時、少年だった僕は、プロレスは100%リアルガチな格闘技だと思っていましたので、このマンガに描かれていることもすべて真実だと思って信じ切っていました。
プロレスといえば、スポーツなのかショーなのか、格闘技なのかエンタメなのか、ガチなのか八百長なのかというグレーゾーンな議論が必ず付きまとっていたのですが、2001年に元新日本プロレスのレフリー・ミスター高橋氏が書いた暴露本『流血の魔術 最強の演技』(講談社+α文庫)で、すべて勝敗がはじめっから決まっているショーであることが明らかにされ、今までプロレスのグレーだった部分がクロで確定してしまったのです。
これは僕らのように、薄々感づきながらもプロレスを格闘技だと信じ続けていたファンにとって、かなり衝撃的なことでした。と同時に『プロレススーパースター列伝』に書いてあったこともウソッパチだらけだったんだなあと、気づかされたものです。
何しろ、作品中でアントニオ猪木が「だれも八百長などと疑わぬ、実力が全ての過激な新日本プロレス」って、思いっきり書いてますからね。
とまあ、そういう経緯があり、プロレスはエンタメであると踏まえた上で改めて読んでみても、やっぱり『プロレススーパースター列伝』には色あせない面白さがあります。登場キャラが魅力的すぎるんですよね。この作品を読んだ後に、『流血の魔術 最強の演技』を併せて読むと、マンガでいかにも真実であるかのように描かれている伝説がことごとく否定されており、これはこれで非常に味わい深く楽しめますよ。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)
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