おぎやはぎ・矢作も「今年一番笑った!」“演歌歌手×Jポップ”TBS『演歌の乱』の細川たかし無双
#TBS #演歌 #細川たかし
■「たかしのエリー」
曲はサザンの「いとしのエリー」に決定。他の歌手と違って不安を語るとか特訓することとかもなく、いつも通りの感じでスタジオに登場し歌い出した。
しかし、これがもう見事なまでの「細川たかし」。
コブシを効かせまくり、なんの遠慮もない、まんま「THE・たかし」「THE・演歌」「いとしのエリーだよ、人生は」。
後輩たちがあれほどにコブシを抑えたり、演歌とは違う歌い方に注力してたのに、たかしはどう思ってスタンバイしていたのか。気持ちのいいほどの「たかし」っぷり。まさか、走裕介のコブシの「振り」がここで回収されるとは。
「エリぃいぃ、マイラぁあぁブぅ、そおぉおぉ吸いぃいぃい(so sweet)」
「素敵に いよおぉおぉさあぁあぁい(In your sight)」
ゲスト席は、普通に爆笑している。「笑ってもっとベイべー」状態。いや、たかし的には「べいびぃいぃ」か。
メガネを外し、涙をぬぐう矢作。もちろん面白いから。たまに浪曲だから。「たかしのエリー」だから。
暴力的なコブシを効かせるたかし越しに映される、爆笑のゲスト席。もう「マジ歌選手権」だ。
現に、歌終わりに、矢作は開口一番「本当に今年一番笑いました」と素直にぶちまけ、他のゲストも全員遠慮なく共感の爆笑、それを聞いてるたかしも爆笑と、もはや企画意図を突き抜け、謎の幸せな時間となった。
しかも驚いたのは、あまりにいつもの歌い方すぎて、逆に栗田貫一のモノマネに聞こえてくることだ。
「もしも細川たかしが、サザンオールスターズだったら」だ。
声は細川、画面に映って歌っているのも細川、髪型ももちろん細川なのに、なぜかクリカンの“もしもシリーズ”に聞こえてしまう不思議。いっそのこと、細川へのお題は「いとしのエリー」とかJポップとかではなく「救急車」とか「サイレン」とかにして欲しいほど。
ふざけた書き方をさせてもらったが、これほど面白いのに、それでいて最後には見事なファルセットを聞かせたり、「歌唱法」とか「発音」とかを超え、滲み出るソウルのようなものを感じさせてくれる圧巻のステージで、番組収録とは思えない本気の盛り上がりを見せていた。
なぜそんなにオリジナリティがあるのかと聞かれた細川は、
「桑田(佳祐)くんが作ったけど、サザンに合わせる必要性は何もない! 俺が歌うんだから『俺のエリー』を聞け! ということ」
「それで文句があったらオンエアするな!」
さほど多くない観覧の客席から、本気の拍手が湧き起こる。まさに「たかしのエリー」。
しかし、直後に商品も賞金も出ないこと聞くなり「予算のない番組だね~(笑)」と自分は「文句」を吐いて落とすなど、完全にいいところを持っていく形で放送は終了した。
そもそも細川は、事前のVTR撮影に、わざわざどこかの空港まで来たスタッフに「よっぽど暇なんだね」とか、演歌勢は高齢化だから「すでに企画が遅いよね」とか、ナチュラルな笑顔で吐き捨てたり、あげく「我々にJポップ歌えっていうのは、ちょっと無理だよね」と明るく企画を全否定したりとやりたい放題で、一人だけ違う意図で番組に出ているかのようだった。
視聴者の反応もよかったようなので、是非続編を作る際には細川にはマストで出ていただき、慣れないJポップと格闘し苦闘する若手を、明るく身もフタもなく笑い飛ばしていただきたい。
(文=柿田太郎)
■出場歌手と演目
藤あや子「First Love」(宇多田ヒカル)
大江裕「for you…」(高橋真梨子)
徳永ゆうき「前前前世」(RAD WINPS)
城之内早苗「Hero」(安室奈美恵)
丘みどり「DEPARTURES」(globe)
走裕介「ひまわりの約束」(秦基博)
北山たけし「One Love」(嵐)
細川たかし「いとしのエリー」(サザンオールスターズ)
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