おぎやはぎ・矢作も「今年一番笑った!」“演歌歌手×Jポップ”TBS『演歌の乱』の細川たかし無双
#TBS #演歌 #細川たかし
9日にTBS系列で放送された『演歌の乱~細川たかしがサザンを!藤あや子が宇多田ヒカルを本気で歌うぞSP~』。土曜の昼下がりのヌルい時間帯、何気なく眺めていた番組だが、その意外な盛り上がりに驚いた。特に細川たかし。
内容は、タイトルそのまま。今やテレビで歌える場所が減ってしまった実力派演歌歌手が、昔ならおそらく断っていたであろう、慣れないJポップを歌う。持ち歌を歌わせてもらえないのは不本意かもしれないが、しかし食わず嫌いな視聴者にその歌唱力を知ってもらい、興味を持ってもらうにはいいきっかけだろう。
正直よくあると言えばよくある企画なのかもしれないが、歌手が一堂に会する番組もほぼなくなり、演歌とJポップの距離が離れた現在だからこそ、『THE夜もヒッパレ』(日本テレビ系)などの時代よりも、こういう企画が意味を持つのかもしれない。
司会はTBSアナウンサーの駒田健吾と日比麻音子。申し訳ないが、とにかく予算がないことがわかる人選だ。一部の歌手とゲスト以外に特にお金がかかっている様子はなく、申し訳程度のセットやスタジオの色調から、どこか通販番組を思わせるほど。
しかし出演者は、演歌界で勢いある若手から大御所まで、ツボを押さえたラインナップ。
■「前前前世」や「First Love」を歌ったのは……
トップを飾るのはデビュー30周年だという藤あや子。紅白出場21回のベテランだ。
選曲は、街角でリクエストの多かった上位50曲の中から、歌手自らがクジ引きで決定。藤が引いたのは宇多田ヒカルの「First Love」だった。
このクジ引きがガチであるのかはどうでもいいし、ガチでなくてもなんの問題もないのだが、実にちょうどいい選曲。
クジを引いて、その曲に挑む意気込みや不安などを語り、さらに練習風景や苦労する様子が添えられ「さて本番はどうなるのか──?」的な煽りを受け、スタジオでいざ本番! というのが基本の流れ。
かつて同じTBSで放送されていた芸人シャッフルネタ番組『笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ』などで見られる「そこまでの経緯をVTRで→スタジオで披露」という王道の構成。
しかし、当然なのかもしれないが、みなさんさすがに上手い。声が通る、迫力がある、艶がある。藤あや子は、練習すると新鮮味がなくなるとの理由から、練習シーンなどなかったが、それでも難しい宇多田の曲を見事に歌い上げる。
ゲストも、とにかく「上手い」と酔いしれる。高橋真麻が正しく聞き惚れ、鈴木奈々がバカみたいに感激し、大友康平がテクニカルな部分を語る。IKKOは寂しいセットを補うかのように派手な外観で居座り、おぎやはぎが面白くする。
前半、印象的だったのはRAD WINPSの「前前前世」を歌った徳永ゆうきだった。
■なぜか「指パッチン」がうまい
「テンポが速い」と不安がり、テンポ比較のため、自身のゆったりした持ち曲を指を鳴らしながら口ずさむのだが、テンポや歌とかよりも、その指パッチンの音色が見事で驚かされる。
さらに「前前前世」を「両手(指パッチン)つかわないと出来ないテンポ」と言い、実際両手で指を鳴らしながら歌ってみせるのだが、もうそのパッチン音が凄すぎて歌が入ってこない。
これだけでも十分、徳永に興味を惹かれるのだが、本番、伸びのある澄んだ声で歌いあげる「前前前世」が指にも増して見事。袴姿で軽やかに歌ってのけるのも、また憎い。
ゲストの鈴木奈々も「めちゃめちゃ大好きになりました!」「大ファンになっちゃいました」×2回と、素で感激。興奮しすぎて「顔は面白いけどー」と、なかなかに失礼なことを付け足してしまい、バラエティに慣れていない徳永がたじろぐなど、それも含めて前半一の盛り上がり。
伴奏があるので本番では残念ながら指を鳴らすことはなかったが、間奏で狂ったように指を鳴らす「ポール徳永」も見たかった。
この後も実力者たちが見事にJポップを歌ってみせるのだが、全員に共通するのはとにかくコブシを効かすことを抑え、Jポップとして歌い上げていること。
特に船村徹の弟子でもある走裕介は「コブシを隙間なく入れたくなっちゃう」と、良さでもある「職業病」に悩みつつ、なんとか苦労してコブシを封印、少ししゃがれた声で秦基博の「ひまわりの約束」を、これまた雰囲気たっぷりに歌い上げた。
ゲストの矢作も「お笑い的なアドバイスをするなら、あそこまでVTRで(コブシ封印を)振ってた場合は、思いっきりコブシを入れて歌わないと」と、ふざけて盛り上げる。
そしていよいよ大トリで登場したのはご存知、御大・細川たかし。
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