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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『コウノドリ』“ONE PIECE化”の期待

星野源も坂口健太郎もいなくなる!?『コウノドリ』3シーズンへの布石と“ONE PIECE化”の期待

 

■懐かしいあの人が!

 

「それって医療ミスですよね!?」

 間違った治療をされていたことに激昂する風間(夫)。

 動揺する白川に代わり、今橋がよその病院に搬送して緊急手術をする必要がある旨を伝える。

 だが、気まずさゆえ搬送車内の付き添いを他の医師に頼もうとする白川に、今度は今橋が声を荒らげる。

「責任を持って最後まで見届けなさい!」

「君は過ちを犯した。自分の実力を過信して赤ちゃんの命を危険にさらしたんだ。自分の過ちから逃げるんじゃない」

 重苦しい空気の搬送車で向った講談医大でも、引き継ぎの医師にそっけなく言われた言葉が白川に刺さる。

「あとはこちらでなんとかしますから、もう帰っていいですよ」

 帰り際、ベンチで手術終了を待つ不安げな風間夫妻の姿が目に入るが、白川は逃げるように迂回してしまう。

 そんなズタボロの白川に声をかけてきたのは、以前同じ新生児科で「鉄の女」と呼ばれていた先輩医師・新井(山口紗弥加)だった。

 新井もかつて、気負いすぎ視野が狭くなったあげく、つまずき打ちのめされ、燃え尽きてペルソナから消えてしまった過去がある(前シーズン・9話)。

 今は講談医大の小児科で働きつつ、NICU(新生児集中治療室)を卒業した子どもらを外来で診ているという新井は、現場から離れていた半年間「ペルソナにほっぽり出してきた赤ちゃんのこと」が頭から離れなかったとの苦い体験を語り、「そろそろ帰んなよ? 赤ちゃんたちがあんたのこと待ってるよ」と、かつての後輩の尻を叩く。

 おそらく今の白川に声をかけるのに、彼女ほどの適任はいないだろう。

 前シリーズ・9話でこんなことがあった。

 一人で抱え込み過ぎている新井に「休んでください」と声をかけた当時研修医の白川。だが、バーンアウト寸前の新井は「いいってば! 白川先生に任せられない!」と突っぱね、白川をむっとさせてしまう。

 2人は、2年前のあの日のことを思い出していたのだろうか。そして白川は、後輩に強く当たりちらす今の自分をどう思っただろうか。

 

■強化された「救い」

 

 少し驚いたのは、原作コミックでは新井との出会いが全くの偶然として描かれているのだが、ドラマでは鴻鳥がこっそり新井に連絡をしていて、白川に声をかけて欲しいと段取りをしていたという点だ。これはドラマ、原作、それぞれによさがあると思う。

 ドラマの「段取り」パターンでは、まず、あんな消え方をした新井と鴻鳥が今も連絡を取っていたんだ、という「救い」があるし、「みんな新井先生に会いたがってますよ」「私もみんなに会いたいな」という通話の内容から、双方が気にしており今後また会うかもしれないんだな、という「救い」も見て取れる(鴻鳥の言葉は気遣いの可能性もあるが)。

 そして、原作では確認できなかった結婚指輪らしきものが新井の左手に光っていたのも「救い」だ。もちろん段取りを仕掛けた鴻鳥は主人公として株が上がるし、出会いの整合性や辻褄的にも、こっちの方が説得力があるだろう。

 それに対し原作の「偶然」パターンは、ドライだ。

 その後の新井と誰も連絡を取っている様子はなかったし、新井が婚約者とどうなったのかもわからないままだ。今後もペルソナ一派と関わることはないのかもしれない。それがシビアな現実なのかもしれない。

 しかし、だからこそ、失意の白川と、かつて同じ失意の底にいた新井が、何の手筈もなく偶然出会い、会話する中で共に救われるという奇跡はこちらの方が強烈に輝く。

 頼まれて探し出し励ますのと、無視することもできたであろう、たまたま見かけた後輩に声をかけ、過去の自分と似た境遇なのを知って自発的に励ますのとでは、励ます側の振りかぶり方が違うはずだ。

 後日ペルソナで、白川が再度、風間夫妻に遭遇するシーン。

 ここも原作ではお互い気まずそうな会釈程度で厳しい現実を見せるのに対し、ドラマでは白川に「力及ばず申し訳ありませんでした」としっかり頭を下げさせ、風間妻も「白川先生、お世話になりました」とぎこちないながらも向き合って挨拶させるなどの「救い」をいれている(旦那は仏頂顔)。

 どちらがいいというわけではないが、原作は実際あるのであろう厳しさをしっかりと描き、ドラマは視聴者の後味が悪くならないよう強めに配慮をいれているのだろう。

 ちなみに新井が仕事から離れていた間によく行っていたと白川に語った温泉や魚釣りというのは、山口自身の本当の趣味だ。

 

■どんどんレギュラーがいなくなる?

 

 屋上にて、いつものように下屋に軽口をたたく白川だが、唐突にペルソナをやめる決意を告げる。

 患者に寄り添う気持ちをなくしていたと反省を口にし、「どんな小さな命にももっといい未来を届ける」ため、よその小児循環器科(おそらくペルソナにはない)で研修を受けたいと語る。

「上を目指す」のではなく「先を目指す」と語るその気持ちは、下屋が救命科に転科するのを志願した気持ちと同じだろう。

 研修先が決まるまではいるようだが、しかし今後白川が出ていき、下屋も転科していて、これで四宮までいなくなったら、ドラマ的にはだいぶ寂しくなってしまいそうなのだが、これはシーズン3でまた結集するための布石なのだろうか?

 ここまでメンバーが散り散りになると、何年か経ってそれぞれ新たな能力を手にいれた手練の医師たちが一堂に会す、再開後の『ONE PIECE』(集英社)のような展開を期待してしまう。

 今回のラスト、ペルソナに戻った四宮のもとに、晃志郎から「一日一生」という書が届けられる。四宮はどんな決断をするのか。再度、晃志郎が倒れる次週も見逃せない。
(文=柿田太郎)

最終更新:2017/12/08 17:00
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