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日刊サイゾー トップ > 社会  > 規制も仕方ない“民泊の真の魅力”

中には『八つ墓村』みたいな体験をできる宿も!? 規制も仕方ないと論じられる“民泊の真の魅力”とは

※イメージ画像

「深夜にインターフォンを鳴らされて、何事かと思ってモニターを見たら、スーツケースを抱えた謎の外国人が立っていた」

 都内近辺でオートロックのマンションに住んでいる人からは、そんな話をよく聞くようになった。夜中に見知らぬ人が尋ねて来る得体の知れない恐怖。その原因となっているのが、民泊である。

 東京をはじめ、大阪や京都など大都市では、観光客の増加によって常にホテルはパンク状態。一般的なビジネスホテルでも1泊1万円になることがある昨今、民泊の需要は高まっている。

 各地を取材で訪れる筆者は、民泊を利用する機会も多い。地域の実情を知るには、民泊のほうが何かと都合のよい側面はある。部屋を貸してくれるホストと交流するのは、民泊でなくてはできない楽しみだと思う。

 しかし、いろいろな民泊を利用していると、決してそんな楽しい宿ばかりではない。やはり、空き部屋を利用して稼ごうという意志が前面に立っているところにも出くわすことになる。

 先日、関東某所で民泊を利用する機会があった。民泊を探す時に利用するのは、宿泊サービス「Airbnb」のサイト。その宿に興味を持ったのは、意味がわからない安さである。周辺がどこも3,000円台だというのに、そこだけは2,000円を切る値段を表示していたのである。

 これはいったいどんな宿なのか……。

 掲載されている写真やレビューを見る限りは、決して悪い評価は付いていない。おそるおそる予約をし、ホストとカギの受け渡しなどのやりとりのためメッセージを交換した。

 この時点で、ちょっと疑問が。妙に日本語がたどたどしいのである。そして、仕事に出掛けているのでカギはポストのロックを外して入れておくから、勝手に入ってくれという。

 これは、何かハプニングがあるのかも。そう思って訪れたのは、最寄り駅から徒歩10分ほどの古めの集合住宅。カギを開けて入った部屋は、2LDKの生活感にあふれる空間であった。どの部屋を使えばよいのか案内もない。布団が敷かれている部屋が、多分そうだろうと思い中に入る。あるのはWi-Fiの案内だけ。あとは、台所にゴミの分別方法が書いてある以外は、何も案内がない。

 深夜になり、ようやくこの部屋の片鱗がつかめた。誰かがドアを開ける音がしたので様子をうかがうと、アジア系らしい女性のグループ。話しかけてみるが、日本語は通じない。彼女らが、もうひとつの部屋に入ってカギをかける姿を見て理解した。ああ、ここは、こっそり運営している「ヤミ民泊」の類いなのだろうな、と。

 空いているマンションの一室を、家主が管理組合などに許可なく民泊にする。あるいは賃貸人が家主には内緒で運営する「ヤミ民泊」の数は増えている。とりわけ問題が深刻なのは、都内に増えた新築のマンション群。これらの部屋には値上がりを期待して資産として購入されているものも多い。そうした、将来は売る予定の部屋を、民泊にして利潤を得ているのだ。

 結果、困るのは同じ物件の別部屋の住人たち。宿というものは、周囲の人に迷惑がかからぬように静かに使うもの。でも「旅の恥はかき捨て」と思っている連中は、人種・民族を問わず存在する。共用スペースで騒ぐ者やら、宴会で騒音をまき散らす者まで。そうした連中の存在は、民泊への規制議論を本格化させている。

 新宿区では、営業できる日を週末を中心に限ることを盛り込んだ条例案をまとめ、近く区議会に諮る予定だという。迷惑な利用者がいる以上、もはや規制も仕方ないところまで来ているのだろう。

 だが、一方で民泊は魅力的だ。何しろ「Airbnb」を見ると「二度と泊まりたくない」と、話題になりそうなネタ物件候補も、次々と見つかるもの。

 前述の宿など、まだマシなほう。「単に板の間に汚い布団が敷いてあるだけだった」という体験をする人も多い。さらに「農家を体験と書かれている宿に泊まったら、生活していた時のままなのか、やたら広い一軒家。中には仏壇もあったりして、農家じゃなくて八つ墓村みたいだった」という体験をした人も。

 予定通りにいかないことこそ、旅のひとつの魅力。今日の宿はいったいどんな体験が待っているのか……その、ギャンブル性は新たな旅の楽しみになっているような気がする。
(文=昼間たかし)

最終更新:2017/12/01 14:00
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