自称「半端な勘違い野郎」が雌伏2年──“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、新作小説『熱帯夜』への思いを激白!
#インタビュー #瓜田純士
――前作を出した直後の瓜田さんは、気性が荒くて危なっかしい印象でした。でも2年経った今は、お酒をやめたせいもあるでしょうが、だいぶ落ち着きましたね。内面の変化や成長が、『熱帯夜』の文体にも表れていたように感じます。
瓜田 あの頃は人間として落ちていた時期で、酒に溺れていましたね。自分が将来どうしていきたいのか、地に足を着けて考えることにビビっていたんですよ。理想ばかりが高くて、現実の自分を直視したくなくて、ずっと酒でごまかしていたんです。起きるトラブルはすべて自分のせいなのに、それを直視できずにヤケクソになっていた。たとえば酒の勢いでケンカになって死んだら、それはそれで構わないと思っていました。それぐらい当時は、生きることに必死じゃなかったんですよ。でも今はちゃんと生きていきたいと思う。ちゃんと生きていくためには、何事にも中途半端だった過去の自分を捨て去るしかない。そう気付かされたんです。
――何によって気付かされたんですか?
瓜田 嫁がじっくり時間をかけて教えてくれました。それまでの自分は、人生のすべてが半端だったし、そしてラッキーだった。ラッキーだったせいで、半端な気持ちのまま半端な少年が半端な青年になり、不良時代の威光で持ち上げられたりして、ある程度のことが通用しちゃっていたんです。だから、そのまま肩で風切って生きていけるんじゃないか、って勘違いしちゃった。人のことをしょっちゅう「この勘違い野郎!」と罵っていたけど、自分が一番の勘違い野郎だったという(笑)。
――(笑)。
瓜田 そうじゃないんだ。誰も彼もが石橋を叩いて一生懸命生きている。それってすごく格好いいな、自分はめちゃくちゃ格好悪いな、ってことに気付いてからは、自分を変えるために生活環境も生き方も改めました。酒とタバコをやめたのも、そういう理由からです。今は誰ともケンカなんかしたくないし、もし何かあっても嫁を守れるように数カ月前から格闘技の道場にも通い始めました。地下格闘技に出ていた時代に通っとけよ、って話ですが(笑)。
――再生の裏には、内助の功があったんですね。
瓜田 ドン底の状態で振り回したのに、振り回されながらついてきてくれた。その恩を返すためにも、半端なことはもうできないです。今回の執筆も、これをやり遂げなかったら、今後の人生、何もかもが中途半端に終わるという覚悟で臨みました。受かる受からない、売れる売れないはさておいて、絶対に最後までやり切ってやるという思いで書いた。正直、途中で何度も心が折れかかりましたよ。だって、掲載が約束されていない長文を書くのって、面倒っちゃ面倒ですもん(笑)。でもこの山を越えないと、今後も面倒から逃げるだろうし、そんな自分がどうしても許せなかったんですよ。
――ひと山越えた感想は?
瓜田 こういうことを死ぬまで続けたいですね。作家活動に限らず、練習中の格闘技や、今やっている石膏ボード運びのバイトも一緒です。誰かに何かを教わったら「ありがとうございます」と感謝しながら、ちゃんと覚えてやり遂げる。今までいろんなことを疎かにした分、何事も近道せずにコツコツと続けていきたい。今回の『熱帯夜』は生まれ変わるための挑戦の一つでしたから、すごくうれしいですよ。発売までたどり着けたのは。
――おめでとうございます。
瓜田 今回の作業を通じて、編集者を介さないメリットもデメリットもよくわかったので、今後の糧にしていきたいです。あと今回、改めて気付きましたが、やっぱ俺、書くのが好きみたいですね。何時間もかけて文章を考えたり直したりする作業が全然苦じゃない。寝るのがもったいないとすら感じちゃう。早く次の作品を書きたいですもん。
――すでに次回作の構想が?
瓜田 シリーズ化も視野に入れつつ、いろいろと構想を練っています。まぁ、楽しみにしていてください。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)
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