自称「半端な勘違い野郎」が雌伏2年──“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、新作小説『熱帯夜』への思いを激白!
#インタビュー #瓜田純士
2年間の沈黙を破り、入魂の新作をリリース!――“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)がこのほど、2015年以来となる新刊『熱帯夜』(Kindle版)を発表した。新宿署の刑事が、国際指名手配犯の潜伏先と目されるマニラへ飛び、魑魅魍魎をかき分けながら驚愕の真相を知るクライム・フィクションだ。未来に怯え、酒に溺れ、「俺は半端な勘違い野郎」と自覚した瓜田が、再起をかけて臨んだ一作。創作の苦労や、作品の見どころを著者に聞いた。
――『熱帯夜』を拝読しましたが、「“本気の瓜田”はこんなにもすごいのか!」と舌を巻きました。これは、新宿で生まれ育った元極道の瓜田さんだからこそ書けた生々しいフィクションと言えるでしょう。歌舞伎町、フィリピン、酒、タバコ、刑事、ヤクザ、犯罪組織……そういった言葉が好きな人であれば、必ずや引き込まれ、最後までワクワクドキドキが止まらない内容だと思います。
瓜田 ありがとうございます。これ、絶対の自信作なんですよ。警察が主人公ではあるけども、警察小説じゃない。「新宿発のエンターテインメント」だと思っています。
――事件や登場人物に、モチーフはありますよね?
瓜田 あったにせよ、明らかに変えています。一個一個、好きなようにアレンジして、別人格として描いている。北野武監督の『アウトレイジ』に対して、「花菱会のモデルは山口組だろ!」と突っ込むのは野暮ってもんでしょ。それと同じです。あくまでもフィクションのエンタメとして楽しんでほしいですね。
――刑事モノにした理由は?
瓜田 ストーリーの設定上、対立構図が必要だっただけで、特に刑事にこだわりがあったわけじゃない。それよりもむしろ、犯罪者にとっての「旬」をなるべく入れることにこだわりました。そのほうが読んでいる人がわかりやすいでしょう。でもそれは物語に引き込むための手法に過ぎない。結局どこが肝なのかというと、東南アジアと日本を股にかけた、追う側と逃げる側の執念のぶつかり合い。そして、ぶつかり合った末のドラマチックなケリの付け方ですね。
――謎解き要素や、掛け合いの妙も素晴らしかった。スタイリッシュなだけじゃなく、実はサービス精神旺盛で、ユーモラスな部分もある瓜田さんの持ち味が、いいバランスで出ていたと思います。
瓜田 ユーモアってことでいうと、俺ね、西村京太郎の十津川警部シリーズが好きなんですよ。十津川警部と亀さんみたいな、どこか息抜きになる会話っていうのかな。切れ者の刑事と、おっちょこちょいな奴のコンビものを書いてみたかったんです。同職同士だとそのままになっちゃうので、本作では刑事とフリーライターを組ませることにしました。
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