「恥ずかしい」の声もあるけど、目立つことを最優先……「ふるさと納税でライザップ体験」の行方
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税金を納めたら、お礼にライザップが体験できる。長野県伊那市の打ち出した新たな施策が、さまざまな意味で注目を集めている。
今月8日の同市の発表によれば、これは「ふるさと納税」で寄付金額100万円以上の人が対象。市保健センターを会場に実施する、1回90分、全8回の健康増進プログラムが受けられるという。
各地で特色ある品物が競い合う「ふるさと納税」の返礼品だが、ライザップ体験というのは、全国でも初めてのケースだ。同市の白鳥孝市長は、記者会見で「納税者自らが、健康長寿になってもらえれば」と語っているが、ネット上では「意味不明」「ふるさとは関係あるのか」「そもそも伊那市にライザップの店舗がない」などと、呆れた声が寄せられている。
昨年まで伊那市では、返礼品として市内に関連工場があるという理由で4Kテレビや外付けハードディスクなどを扱っていた。これには、税金分で高額商品がもらえるとあって全国から寄付が殺到。2016年度の寄付額は全国2位の72億0,469万円となった。
ところが、加熱する返礼品競争に対して、総務省が「返礼品は寄付額の3割以下に抑える」ように各自治体に通達。これを受けて、伊那市でも市役所職員からアイデアを募集することになった。
「そのアイデアから選ばれたのが、ライザップなんです。伊那市と関係ないかと思われるでしょうが、ライザップの本社がある新宿区と伊那市は姉妹都市。なので、交流もないわけではないということで……」
そう語るのは、事情を知る市の関係者。昨年までの4Kテレビなどは、市内にメーカーの事業所がある。調達も市内の電気店であり、何かしらの関連性を持たせていた。今回も、まったく無関係のものを返礼品として打ち出すことはできないということありきで、強引な理屈を練った感じが、どうしても残る。
「市役所職員の間では批判こそないにせよ『恥ずかしい』『誰に言ってもからかわれる』なんて話になっていますよ……」(同)
もちろん、この施策が永続するとは誰も考えていないようだ。
「4Kテレビなんかも、いつまでも続かない。必ずどこかからストップがかけられるという話でした。今年は寄付金が減少することが予想される中で、ひとまずは目立つことを重視した形でしょう」(同)
いずれにしても、100万円の寄付は庶民には遠い話。それを見越してか、2万5,000円の寄付でもらえる返礼品には、腹筋マシーンが入っていたりする。
来年、伊那市では市長選も予定されているそうだが、「目立てばいいんだ!!」の奇策が、どう評価されることになるのか。
(文=昼間たかし)
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