男子禁制少女マンガの名作『ベルサイユのばら』は、男が読んでも面白いのか?
#マンガ #コミック #ザオリク的マンガ読み
■オスカル・アンドレ愛のセレナーデな中期
国民感情を無視した贅沢三昧で、民衆に嫌われまくりのマリー・アントワネットの出番は次第に少なくなり、中期では男装の麗人・オスカルがメインのストーリーとなります。
それにしても噂通り、オスカルはマジでイケメン(女ですが)。見た目の美しさもさることながら、立ち居振る舞いも実に男らしい。そして何より漢気がハンパない(女ですが)。
「わたしの屍を越えていけ!! わたしの血で紅にそまっていけ!!」
そんな漢気あふれるセリフを放つオスカルも、やはり女性。いままで女を捨てて生きてきたのに、ある男の存在が、ついに女の部分を目覚めさせてしまいます。その男はスウェーデンから来た貴公子、フェルゼン。フェルゼンは、マリー・アントワネットに一目惚れしており、一方のアントワネットも、もっさい夫のルイ16世よりも、男性フェロモンムンムンのフェルゼンと結ばれたい……という禁断の関係なのです。立場の違いから決して結ばれることはない苦しみを抱えるフェルゼンですが、そのフェルゼンを密かに愛してしまったオスカルも、また同様に苦しむことになるのです。
そのオスカルの苦しみを支えるのが、オスカルの幼なじみでありサポート役のアンドレ。初期は知名度の割に全然役立たずの存在だったのですが、中期では突然大学デビューした若者のように活躍し始めます。特にオスカルのピンチをかばって自分が片目の視力を失ってしまうあたりは、グッとくるものがあります。
そんなアンドレはオスカルに片想いをしており、アントワネット←フェルゼン←オスカル←アンドレという片想いの連鎖の構図が起こっているのです。そこらの昼ドラよりも凄まじい展開ですね。
オスカルのためだけに生きる一途な男、アンドレにも、作品を代表する名ゼリフがあります。オスカルの花婿候補として登場したジェローデルに屈辱的なセリフを言われ、怒りのあまりティーカップの液体をブッかけます。
「そのショコラが熱くなかったのをさいわいに思え!!」
まさかのショコラ!! コーヒーでも紅茶でも、ココアでもなければミロでもない、ショコラです! さすがおフランスは高貴さが違います。こればっかりは男子向けマンガでは絶対に出てこない発想ですね。あと、ショコラをブッかけられるのって、コーヒーよりもベトベトして数倍ダメージでかそうです。
■主要キャラ全滅!フランス革命後のお通夜ムードな後期
これだけ華々しい王族・貴族の生活を描いた作品でありながら、作品の終盤はまるで別のマンガのようにダークな展開です。
「アンドレ、この戦いが終わったら結婚式だ!」
どう考えても死亡フラグなオスカルのセリフの後、作品の象徴的存在だったオスカルやアンドレが戦死してしまいます。
その後は再び、マリー・アントワネットが物語の中心に。しかし前期の華々しさとは一変し、フランス革命後に没落していく王族の姿が描かれています。フェルゼンの協力むなしく脱出に失敗したルイ16世とアントワネットがギロチンで処刑されるというシーンが描かれており、マンガ的には主要キャラ全滅でお通夜のような状態です。いくら史実に基づいているとはいえ、ここまでとは……。作品後期の『ベルばら』は、そこらの劇画よりもよっぽどハードボイルドでした。そう、『ベルばら』は少女漫画であり、劇画でもあったのです!!
というわけで、真の『ベルばら』ファンが読んだら激怒するかもしれない、『ベルばら』未体験男子向けレビューでした。結論としては、男子でも死ぬまでに一回は読んでおくべき作品です!(できれば白い詰め襟服で)
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)
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