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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 男が読んでも面白い『ベルばら』
じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

男子禁制少女マンガの名作『ベルサイユのばら』は、男が読んでも面白いのか?

『ベルサイユのばら(1) 』( 集英社)

 正直に白状しますと『ベルサイユのばら』を、わりと最近まで読んだことがありませんでした。自称マンガ読みとして、この至高の名作を読んでいなかったのは誠に恥ずべきです。ただ、言い訳をさせてもらうと、いわゆる伝統的様式美にのっとった、全てのコマに花びらが咲き誇っているような少女マンガって、男にとっては読むのに結構勇気がいるんです。

 女子の皆様だって、『ゴルゴ13』とか『野望の王国』とか『マッド★ブル34』みたいな劇画を薦められたら、普通は躊躇しますよね? それと同じです。ましてや、宝塚ファン御用達の『ベルばら』に、僕のような汚いおっさんが土足で踏み込むことなんて、できやしないのです。もし『ベルばら』を読むのであれば、最低でも正装(白い詰め襟服)をした上で、正座して読むのが礼儀というものではないでしょうか?

 ……というわけで、今回は長年避け続けていた『ベルサイユのばら』を読んだ感想を、ありのままに書き綴りたいと思います。

 僕がどのぐらい『ベルばら』を知らなかったかっていうと、「アンドレ」と聞いただけで、人間山脈アンドレ・ザ・ジャイアントを真っ先に思い浮かべるぐらい何も知りませんでした。「オスカル」だってアライグマの親戚か何かだと思っていたし、フランス革命の史実に基づいた話だったってことすら知らなかった。マリー・アントワネットも、「パンのかわりにケーキを食べる人」ぐらいの認識しかなかったし。そんな僕でも『ベルばら』を読んだ後、フランスの歴史についてめっちゃ詳しくなった。『ベルばら』ってフランス史の勉強になるんですね!!

 そんな僕が、まだ作品を読んでいない貴方のために、作品をサクッと紹介してみましょう。『ベルばら』は、おおよそ初期・中期・後期に分かれており、その都度主人公や設定が移り変わります。

 

■マリー・アントワネットがブイブイいわせた初期

 

『ベルばら』といえば、メインはオスカルとアンドレというのが一般的なイメージではないでしょうか。少なくとも僕はそう思っていました。もちろんそれも間違いではないのですが、初期はとにかくフランス王妃マリー・アントワネットが中心。アントワネットの身を守る近衛兵連隊長が男装の麗人・オスカルで、そのオスカルをサポートする右腕的存在がアンドレというわけです。

 ストーリーは、オーストリアの皇女で絶世の美女と名高いマリー・アントワネットが、政略結婚でフランスの王太子・ルイ16世の元に嫁ぐところから始まります。フランスに来るやいなや、力こそパワー・金こそマネーといった勢いで贅沢三昧、権力振るいまくりのアントワネット。なるほど、こりゃあパンのかわりにケーキを食べるわけです。

 特に、ルイ15世の愛人として宮廷で権力を振るっていたデュ・バリー夫人とのバッチバチのバトルが見どころです。自分の権力を脅かすアントワネットの存在を疎ましく思うデュ・バリー夫人に対し、下町の娼婦から成り上がったデュ・バリー夫人を徹底的に見下すアントワネット。

「なんて……なんてずうずうしい女!!」

「そ……そんないやしい女がどうしてこの宮廷に……」

「オーストリアのお母様はそういう種類の女たちにはムチをくれて感化院へほうりこんでいたのに……!」

 もう、めちゃくちゃ蔑んでます。ムチをくれて感化院に放り込むって……ものすごいドS気質を感じますね。女王様だけに。

 当時、宮廷の女性は、マリー・アントワネットにお声がけされることがステイタスとなっていました。デュ・バリー夫人は宮廷で自分の立場を維持するために、なんとしてもアントワネットに声をかけてもらいたいのですが、アントワネットは徹底的にデュ・バリー夫人を無視。ここから、壮絶な声をかける、かけないの攻防が始まります。なんていうか……王室って暇なんすね。

 最終的には、アントワネットの態度に憤った、ルイ15世の命令により、デュ・バリー夫人に声をかけなければならなくなります。その時のアントワネットの有名なセリフがこちら。

「きょうは……ベルサイユはたいへんな人ですこと!」

 だから何なの……って感じのめちゃくちゃ内容のないセリフですが、デュ・バリー夫人に声をかけた後のアントワネットの絶望は凄まじいものでした。

「負けた……!! 王太子妃が、王太子妃が娼婦に敗れた……」

 たかが挨拶しただけでこの騒ぎですよ。フランス王室マジでめんどくさいわー。

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