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ストーカー事件続発の裏で……SNS“悪用”を推奨する女性誌の罪

※イメージ画像

 千葉県在住の20代男性に「好きだ」「愛してる」「新婚旅行は北海道一周したい」などのメールを3日間で80通以上も一方的に送りつけた疑いで、千葉・我孫子市の無職42歳、中村弘美容疑者が逮捕された。容疑者は調べに対し「好きだからメールをたくさん送った」と容疑を認めているという。

 中村容疑者は、男性が勤務する会社に客として訪れたのがきっかけで、男性の通勤時などに現れるなど、およそ4年間も付きまとったという。ありがちなストーカー事件ではあるのだが、奇妙なのは、容疑者が男性の携帯番号やメールアドレスなどを入手していたことだ。捜査を追っている日刊紙記者によると「捜査中の話ではありますが、容疑者は男性のSNSも毎日閲覧していたらしい」という。

 SNSを駆使したストーカーは近年、社会問題化しつつある話で、法改正のきっかけとなった昨年5月の小金井ストーカー殺人未遂事件は、音楽活動をする女子大生がファンの男に刃物で刺され、一時重体となった。女性は事前に「Twitterで執拗な書き込みをされている」と警察に相談していたが、食い止められなかった。

 法改正では、SNSでしつこくメッセージを送信したりすることも違法とされ、警察が緊急性のあるストーカー行為とみなした場合、事前の警告なしに禁止命令を出せることになった。また、被害者の告訴なしに起訴できる非親告罪にもなっている。

 ストーカー相談窓口を開設するボランティア団体の職員は「DV夫から逃げても、SNSで居場所を特定されストーカーされる例などもあって、いまやSNSで他人をしつこく詮索することも犯罪者予備軍といえる。その傾向が少しでもあれば、どんどん聴取をしてほしい」とまで言っている。

 しかし、ストーカー行為を「恋愛テクニック」と混同して、後押しするメディアもある。主婦の友社の女性誌「mina」2017年11月号では「SNSで彼をオトす10のこと」などという企画を掲載し、「今どきの恋愛上手」が「心を揺さぶるあざとい投稿で男心をコントロールしている」と記載。「趣味は偽造可能!」「彼のSNSをこっそり見つける」などとして、SNSを駆使した男性への追跡方法が書かれているのだ。

 SNSにおける「名前検索のコツ」に始まり、「彼の友達のSNSを探す」「位置情報から根こそぎチェック」などという特定の相手のSNSを探し出し、相手が「非公開」にしていても、ウソをつくなどして友達申請をして近づく方法を教唆。白石梨沙なるライターによる「1年後にプロポーズされる完全プロジェクト」などとした記事は、読者の間でも物議を醸し、「SNSの悪用を推奨している」「同じことを男性がやったら犯罪扱いされる」「いかにもモテない人が考えそうな迷惑行為」など厳しい意見が飛び交っている。

 また、別の雑誌では昨年、「かわいい店員女性を落とす」などとしてSNSを駆使する方法を書いた記事で、コンビニ店員の女性を狙った例が書かれていたことから、一部コンビニで問題視され、この雑誌が本棚から排除寸前となる騒動もあった。

 目的のためなら相手の迷惑も考えず手段を選ばないという雑誌記事の方向性は、まさに一方的な好意を押し付けるストーカーと同じ目線があるようにも見える。前出のボランティア職員は「ストーカーになる人の多くは自分の行為に罪悪感を持たない異常者。この雑誌の書き手も同類なのでは」と手厳しい。ただ、記事を参考にした追跡行動は下手すれば、法改正後の警察の捜査対象にもなりかねない話。そんな女性読者が出ないことを祈りたい。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

最終更新:2017/11/21 22:30
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