青学ミスコン・井口綾子さんの“自作自演”疑惑、臨床心理士が語る「可愛さだけが武器」の陥る闇
青山学院大学のミスコン出場者に、前代未聞の大炎上が勃発している。騒動の主役は、『ミス青山コンテスト2017』で準ミスに輝いた井口綾子さん。彼女は以前からネット上で「可愛すぎる」「グランプリの大本命」と呼び声が高かったものの、本選では今井美桜さんが栄冠に輝き、グランプリを逃すことに。すると、鳥取の女子高生を名乗るTwitterアカウントが、今井さんや青学のミスコン自体を罵倒するツイートを投稿し、井口さんを擁護し始めたのだ。
「もうこんなわけわかんない茶番しかやらないなら、ミスコンなんてやめてしまえば? 井口さんが圧倒的人気を誇るミスでしょ。17万人というフォロワー数、アンチもいたかもしれませんが、それも含め今までのミスコンにはなかった伝説です。本物のスターだと思います。あなたたち何を見てるの?」
「井口綾子さんと今井美桜さん、いいね、リツイートでわかる、人気の差が歴然。本当に青学ミスコン運営は何を考えてるんだろうか。目腐ってる?」
ツイート内容を見ると、過激ないち井口ファンに思えるが、このユーザーがツイートに添付した井口さんのTwitterのキャプチャ画像に、本人がログインしなければ表示されない「Twitterアクティビティ」のマークが発見され、「鳥取の女子高生=井口綾子」説が浮上。たちまちネット上では「井口綾子がグランプリを逃した腹いせに、自作自演で批判ツイートをしたのではないか?」「裏アカウントがバレた?」といった疑惑が拡散されたのである。
井口さんは、この事態を受け、「アカウントが不正にログインされた可能性があります」と弁明したものの、時すでに遅し。見目麗しいミスコン出場者に垣間見えた、妬み渦巻く女のウラの顔ともなれば、ネットユーザーは下世話な好奇心を刺激されるのも当然で、日夜彼女の話題でネット掲示板は盛り上がることとなった。
■“自分が支配者”のような気になってしまう
自作自演疑惑による炎上は、井口さんに限ったことではなく、これまでに何度となくネット上を騒がせてきた。バレたら大変な目に遭う――そんなリスクをものともせず、自作自演を行ってしまう心理とは、果たしてどういったものなのか。神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授である臨床心理士の杉山崇氏は次のように語る。
「人はパソコンやスマホに向かい合っている間、ネットにおいて“自分が支配者”のような気になってしまう傾向があります。ネット上でどんな知識でも得ることができ、SNSなどで発信もできるようになった現在、自尊心が高まり、『自分にはいろいろなことができる』『自分の思い通りになる』という錯覚に陥ってしまうんです。その表出の仕方は人によって違うんですが、井口さんに浮上している自作自演疑惑のケースでは、『みんなの気持ちを操作したい』『ネットの意見を煽動したい』といった方向に出たのではないかと思います」
ネット上で、周囲に対する気遣いのない攻撃的なコメントを目にする機会は少なくない。こういった事象は、「『自尊心が暴走する』といわれ、ネットを使っていると陥りやすいとされているんです」(杉山氏)という。
では、こういった心理に陥りやすい人にはどのような特徴があるのだろうか。
「普段何かしらの空虚な感じといいますか、満たされていない部分を抱えている人です。彼女の自作自演疑惑が事実だとすれば、ミスコン出場者となって、みんなにチヤホヤされる一方で、どこか空虚な気持ちを持て余していたのではないでしょうか。もしかしたら、『可愛さだけが武器』『飽きられてしまったら終わり』といった虚しさもあったのかもしれませんね。ミスコンに出場してチヤホヤされることで、空虚な気持ちが埋まったかのように見えて、実はその基盤はもろかったということに気づき、みんなを煽動して、ポジティブな気持ちになることで、それを強化しようと自作自演に走った……ということも考えられます」
しかし、こういった心の空虚感は、限られた人だけでなく、ほとんどの人が抱えているといっても過言ではない。杉山氏は、「確かに誰もが持っている気持ち」とした上で、「ただそれを埋めるものがあるんですよ」と語る。
「恋をするとか、いい仲間を持つとか、生きがいを見つけるだとか、仕事に没頭するとか。裏切られない空虚感を埋めるものをしっかり持っている人であれば、割と悩まされることはないんですけど、タレントのように自身の地位が揺らぎがちな人や、『きれい・かわいい』でチヤホヤされる人は、もてはやされなくなったら終わりですから、そういった怖さをどこかで抱えていたのかなと思いますね。井口さんはある意味、気の毒だったのかなとも感じます」
今回の騒動に関して、「何かにのめり込むこと、何かに酔いしれることで、我々は空虚感から救われるわけなんですが、その対象が確実なものか、壊れやすいものかを見極めるべきと感じました」と結論付けた杉山氏。真偽はともかく井口さんに巻き起こった自作自演疑惑は、ネットを使う者であれば、誰しもが陥ってしまう可能性のある落とし穴なのかもしれない。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事