好調キープのTBS『コウノドリ』星野源が完全無欠のキャラクターになってしまう!?
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■またしても、いいところを持っていく四宮
そのカンファレンス後、自分の分のプリンを下屋に差し出し、落ち込むのはナンセンスだと伝える四宮。下屋は一瞬責められてるのかと思ったらそうではない。
「目の前に車に轢かれて死にそうになってる人間がいたら誰だって助けるだろう。その命を救った後に障害が残るかなんて誰も考えちゃいない。緊急オペってのはそういうもんだ」
この一言で、下屋はどれだけ救われただろうか。この時、下屋が「……はい」と返事するのだが「ズキューン」と効果音を入れてもいいほど、うっとりしていたように見える。さらに最後にプリンが賞味期限切れであるとオチまでつける四宮。この嫌味にならない絶妙な抜き加減は、まさに星野源。
最初にプリンを勧められた際も、食べないかと思ったら放送事故レベルなほどたっぷり無言の間をためて「冷蔵庫に入れておいて」と答えたり、小松に呼ばれた際も「ダメです、これは俺のジャムパンです」と即答でかましたり、今回はおもしろパートも随分受け持っていた。いよいよ完全無欠のキャラクターになってしまうのではないだろうか。
■下屋の決断
お腹の中で亡くなってしまったあかりは、戸籍に表記されることはない。抱っこしてあげたり、一緒に写真を撮ってあげたり、手形や髪の毛を残してもいいと勧める小松。夫妻はいろいろな思いを胸に、我が子をお風呂に入れてあげる。そこに寄り添う鴻鳥や、「ベビー(大松しょうた)は俺がしっかりみてる。絶対あきらめない」と強く言い切る白川を見て、下屋は大松夫妻に手紙を書くことに。子どものことだけ考えて大松夫妻の気持ちを置き去りにしたのかもしれないとの思いから、主に自身の説明不足を詫びる内容だが、それを知った四宮は「サクラ(鴻鳥)が頭を下げたのは、西山さんの感情の圧を下げるためだ」「俺なら絶対に頭を下げない、次の出産に向けて綿密な計画を練る」と語る。両極端な先輩に揉まれ、吸収できて下屋は幸せなのか不幸なのか。
■七村との再会
あかりの心拍停止がわかって個室に移って以来、瑞希は七村に会っていない。どう説明していいか、どんな顔をしていいかわからないからだろう。しかしそんな中、廊下で七村に発見されてしまう。何も知らない七村は「あかりちゃん、元気ー?」と、久しぶりの再会を喜ぶ。精一杯の作り笑顔で「かわいいよ」とだけ伝え「元気な赤ちゃんを産んでね!」と言葉にしがたい表情でエールを送り、立ち去る瑞希。病室に戻る途中、さすがにおかしいと感じた七村の耳に飛び込んできたのは、あかりが死産だったという看護師同士の会話。
かつて、同じ苦しみを共有し励ましあった、もはや戦友といってもいい、同じ病院の釜の飯を食った同志の意外な現実を知り、一人涙する七村。それは、あのいなくなった日からずっと続いていたであろう瑞希の悲しみを知ることもなく過ごした「戦友」としての自分の不甲斐なさを嘆いているようにも見えた。一番視聴者が涙した場面もここではないだろうか。
今回、題材的にも「泣けた」との声が多く、特に瑞希役の篠原ゆき子の言葉にならない苦悶の芝居や嗚咽は、観る者を鷲掴みにしたようだ。
「あかりおめでとう ママありがとう パパより」と書かれたバースデーケーキや、無事出産を終えた七村宅に宅配便で届けられたプリン(「おめでとうひかるさん」のカード付き)、七村の隣でずっと編んでいた毛糸の帽子があかりに被せられているなど、小道具に涙腺を刺激された人も多いだろう。
だが、悲しい内容ながら、西山夫妻は少しずつ現実を受け止め前を向こうとしているようだし、初めは保育器の我が子を見ることもできなかった大松美代子が「手術の話がしたい」とNICU(新生児集中治療室)を訪れたり、明るい希望も最後に見せてくれた。美世子に、しょうたのことを感謝していると伝えられ涙する下屋もうれしそうだ。
他にも、赤西(宮沢氷魚)は産科から新生児科に移り前向きに研修に励んでいたり、鴻鳥や四宮の元後輩の産科医・倉崎(松本若菜)も自身の子どもを預けるペルソナNICUのスタッフと馴染んできていたり。そんな中、さらに下屋に大きな試練がのしかかる模様。いよいよ佳境にさしかかる次週も楽しみだ。
(文=柿田太郎)
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