全教科書の40%に「同性愛者=精神病患者」と表記……進まぬ中国の「LGBT理解」大学寮内での“行為”に処分も
#中国 #海外ニュース
同性愛者をはじめとする「LGBT」と呼ばれる性的少数者の数は、中国国内だけで7,000万人に達するといわれている。先進国ではLGBTへの理解が進んでおり、EUやアメリカでは同性婚を認め、日本でも渋谷区など一部の自治体で、同性カップルに対して結婚に相当する関係を認める証明書(パートナーシップ証明)の発行を行っているが、中国ではLGBTに対しては市民権が認められていない。
そんな中、中国の大学が同性愛行為に及んだ女子学生らを処分するという事件が起き、ネット上で批判を浴びている。
「東方網」(10月28日付)によると、広西理工職業技術学院で、学内の掲示板に、以下のような通知が張り出された。
《本学院1年生の女子学生3名の処分を決定した。女子学生らは10月25日夜、寮内で不純な性的行為を行い、首にキスマークをつけていることが確認された。この女子学生ら3名の行為は、寮を巡回中の管理人も確認しており、今回の件が発覚した。女子学生らの行為は、広西理工職業技術学院の校規に違反していることから処分が決定となった。このような行為が学内に広まらないよう、学生は注意するように》
この通知は、ネット上で拡散。学院側が集中砲火を浴びる事態へと発展した。
「今どきの子は、遊びでキスマークくらいつけるよ! わざわざこんなことで処分するなんて、学校はバカじゃないのか!」
「不純な行為って、女同士で最後までやっていたのか? だとしても、掲示板で全学生に通知するなんて、プライバシーの侵害だと思う」
今回の女子学生らが本当に同性愛者だったのか、ただの興味本位で行為に及んでいたのかは不明だ。しかし中国の教育機関ではLGBTへの理解がまったく進んでおらず、学校側と学生の間で衝突を繰り返している。
昨年には名門・中山大学に在籍する同性愛者の女子学生が、「同性愛者は精神病患者」と記述する教科書の訂正を求め、中国教育部(日本の文科省に相当)に訴えて話題となった。ちなみに中国国内の大学で使用されている健康・心理に関する教科書の40%は、同性愛者を「精神病患者」と形容しているというデータもある。
中国でLGBTの市民権が確立されるには、まだ時間がかかりそうだ。
(文=青山大樹)
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