櫻井翔・校長、3年生切り捨て改革で嵐を巻き起こす! 『先に生まれただけの僕』第4話
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また、自分の誤りや失言を他人から指摘されなければ気づかないという鈍感さが、元エリート商社マンという設定をブレさせてしまっているようにも思えます。櫻井の演技力が決して高くないだけに、どこか頼りなさも感じてしまうのです。
それだけに今回、新聞のラテ欄に「怒涛の10分超えロングスピーチ! 改革から取り残された三年生のみんなへ!」というコピーを見つけた時には不安を覚えました。櫻井の独演が10分以上も続くとなると、地獄絵図と化すのではないかと。ドラマの内容よりも櫻井ファンを喜ばせるためだけの演出を優先するように路線変更したのではないかと危惧してしまったのです。
しかし、結論をいえば最後のロングスピーチは見応えがありました。鳴海が最初、「こんな(理不尽な)こと社会に出れば普通にあります」と語り始めた時には「逆ギレかよ!?」とツッコミそうになりましたが、確かに鳴海の言うことは正しいのです。世の中に出れば理屈の通らないことだらけ。けれど、現実の教育現場では実社会経験のない教師ばかりが多いため、鳴海の言う“普通”を知る人は少ないのではないでしょうか。
また、たとえ民間企業で働いた経験があっても、鳴海のようにズバリと言える教師はどれぐらいいることでしょう。鳴海は今回、進学組の生徒たちに向かって、偏差値の低い高校から進学できる大学は「就職に有利といえる大学ではない」とまで言い放ってましたが、そんな発言ができる教師は決して多くはないでしょう。教科書に書いてあることを教えるのではなく、生徒たちよりも“たまたま先に生まれただけの僕”が経験したことを語る。そうすることで社会に通用する生徒を育てていくという鳴海の理念およびドラマのテーマが、これまでで一番現れた回となったように思えます。
ただ、このままでは社会の現実を生徒たちに突きつけて怖がらせているだけにすぎません。進学組の生徒たちに向かって「人間力を鍛えろ」と諭していましたが、具体的には何をすればいいのか。それを示していかなければなりません。また、アクティブ・ラーニングだけで偏差値が上がるほど学校教育は単純なものなのかも疑問です。鳴海校長の前途はまだまだ多難ですが、前回から少しずつ見どころが増えてきただけに今後の展開に期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)
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