「経験無し」って悪いこと? ドラマ『オトナ高校』に見る日本の貞操観
#日本テレビ #テレビ朝日 #三浦春馬
もちろん、経済面や環境面で子どもが持ちにくい社会であることも理解はしている。しかし「草食系男子」といった言葉に代表されるように、性交渉自体にガツガツしない若者が増えているのもまた、事実なのだ。
要因は一概には言えないだろう。ただ、一時期爆発的に増えた日本の人口に対し、何らかの「抑制」が働いて、少子化を進行させてしまったのではないかとも考えられる。少子化対策も確かに大事だが、無理に人口を増やすより、できるだけ推移を見守り、自然に任せたほうが幸せな気がする。それでもし、日本人が一人もいなくなるようなことがあったとしても、それはおそらく民族としての寿命なのだ。
第3話までの放送を見た限りでは、先生と生徒、両方の思いをうまく交差させながら物語が進行しているように感じる。「もっとうまく立ち回り、自分をさらけ出して相手にぶつかっていけ」という主張も「みっともないかもしれないが、自分はこうとしか生きられない」という思いも、両方に「うんうん、わかる」とうなずかされてしまう。
おそらく、この問題に正解はない。ドラマはどちらかの正当性を主張するのではなく、見る人にこの問題について考えさせるきっかけを与えれば成功なのだ。
そもそも「多くの人との経験をしたほうがいい」「無理に経験するものではなく未経験でもかまわない」この二つの思想は、どうあっても噛み合うものではない。どちらが正しいか、どちらが幸せなのかは、それぞれが判断すればいいことだ。ただ一つ言えるのは、どちらの考えも強制したり、排除したりするものではなく、それを選択する自由が与えられるべきだということだ。
毎回、合コン、不倫、恋人代行サービスなど、ホットな話題を取り入れながら進んでいくこのドラマ、もともとの設定がなかなかにトリッキーであるので、最終回にどんな結末を見せてくれるのかは興味深い。
何より、こうしてドラマについて論じている時点で、私自身、すでにこの作品の術中にハマっているともいえるのだ。
(文=プレヤード)
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