発売即完売の日本列島縦断9泊10日じゃ物足りない!? もっと苦行な鉄道旅行が欲しい……!!
#鉄道 #昼間たかし
国鉄民営化から30周年を記念したJR7社共同企画のイベントツアーが、発売即完売となり話題を集めている。
「24の列車で繋ぐ じっくり日本列島縦断10日間」と題された、このツアーは9泊10日。費用は39万から48万円と告知されていた。
旅程は、ほぼ列車に乗りっぱなしで日本中を巡るという、かなりの強行軍。初日は、上野から寝台列車・カシオペアで北へ。新青森駅からは新幹線に乗り換え、さらに列車を乗り継いで札幌へ。翌日は本州に戻り仙台で一泊した後、東京~名古屋経由で西へ。さらに北陸から四国・九州も巡った後に東京へ戻ってくるというもの。日によって異なるが、食事もあり、観光時間もある文字通りのツアーである。
とはいえ、かなりの駆け足。一種、苦行のようなプランであることは間違いない。
実は、こんなスパルタなツアーは他にも企画されていて「新幹線で行く 日本列島縦断3日間」は、1人15万円。初日、新函館北斗から、新幹線を乗り継いで3日目に鹿児島中央駅に到着する。こちらは、2日目にいったん新幹線を離れて、四国に渡り金比羅宮の参拝までついている。
「鉄道を用いたエクストリームな旅を求める人というものは、昔から絶えないものです」と、話すのは最長片道切符の旅に挑戦したこともある、鉄道マニア氏。最長片道切符とは、日本列島の鉄道を一筆書きで旅するというもの。ルートに変遷はあるが、現在では稚内駅から肥前山口駅までが最長ルートとされている。特急などを利用しなければ10万円を切るので、安いといえば安い。とはいえ、膨大な時間と我慢が強いられる旅である。
「在来線で長時間ロングシートに座っているとか、苦行ですよね。それに比べると件のツアーは苦行っぽい雰囲気を味わうもの。観光のついでにお寺の宿坊に泊まってるのと同じ、気軽さがありますよね」(同)
とはいえ、その旅程を記録した故・宮脇俊三さんの『最長片道切符の旅』(新潮文庫)が、いまだにロングセラーになっているあたり、いつかは挑戦をしたいという人が絶えないということか。やがては、ラグジュアリーな雰囲気の9泊10日程度では物足りないという声も出てくるだろう。そのうち、最長片道切符ツアーとか企画されるかも。
しかし、どんな苦行の鉄道旅行も、宮脇俊三さんには太刀打ちできない側面も。何しろ、宮脇さんは編集者として中央公論社(現・中央公論新社)の『世界の歴史』シリーズなどの名著を担当。最後は同社の常務取締役になった人物。そんな多忙の合間に、まさに必死に鉄道に乗って、国鉄全線完乗を成し遂げたのである。
必要なのは「いつかは……」の憧れじゃない。今すぐ旅立つ思い切りとやる気だ。
(文=昼間たかし)
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