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本物の極道だった“元アウトローのカリスマ”瓜田純士が見る『アウトレイジ 最終章』

本物の極道だった元アウトローのカリスマ瓜田純士が見る『アウトレイジ 最終章』の画像4

――その他、不満だった点はありますか?

純士 かつての北野映画の世界観って、暴力描写にはスピード感がある一方で、それ以外ではよくわからない女性が出てきたり、ゆっくりなシーンがあったりしたと思うんだけど、今回はそういう緩急や、独特の間が少なくて、俳優陣の長ゼリフが最初から最後まで続いた印象でした。しかも俳優が噛まないように一生懸命になり過ぎちゃったせいで、リアルさが失われてしまった感がある。そうなった一番の原因は、関西出身じゃない俳優に、関西弁を喋らせ過ぎたことでしょうね。

麗子 その通りや! バッタもんの関西弁が多過ぎて、序盤で興醒めしたわ。

純士 関東人の俺からするとイントネーションのおかしさはそれほど感じなかったけど、誰からも文句を言われないように一生懸命勉強してきたというのが伝わってきて、こっちまで緊張しちゃった。そういう本筋とは関係ないハラハラドキドキって、映画を見る上で邪魔。特にこの手の掛け合いが肝となる映画の場合は、標準語の人は標準語のままアクセル全開でぶっちぎったほうが絶対よかったのになぁと思いました。関西の組織に関東人がいてもおかしくないんだから。

麗子 あと、やり過ぎた服装もアカンかったわ。今どきあんなん着たヤクザ、どこにもおらへんやろ? ヴェルサーチのテロテロのシャツに犬の首輪みたいなチェーンとか(笑)。

純士 俺は10代の頃、ああいうコテコテの格好をしていたけどね(笑)。ピエール瀧みたいなストライプのスーツも愛用していたし、上下サテンのスウェットとかも着ていた。

麗子 当時はイケてたん?

純士 いや、その当時から生きた化石状態だった(笑)。

麗子 そやろ? 今回の映画は服装のセンスが古いねん。

純士 まぁあれはあれで、どれだけヤクザ化できるかという俳優同士の競い合いみたいなもんだから、いいと思うけどね。もっと派手にやってほしいと個人的には思ったよ。それよりも気になったのは、設定の古臭さかな。

――と、申しますと?

純士 謎のフィクサーが日韓を股にかけて暗躍、みたいな設定は、20年前なら底知れぬ不気味さを感じたのかもしれないけど、今はそうでもない。というのも今の日本人は、韓流映画やK-POPにたくさん触れて韓国文化を知り過ぎているから、張会長や白龍らの韓国語のやりとりを見ても、それほど新鮮さを感じないんですよ。あと、原田泰造。ビビって引き金を引けない表情はよかったんですけど、「元暴走族の鉄砲玉」という設定はあまりにも前時代的でしょう。あともう一つ、個人的に受け入れがたい描写もありました。

――それは何でしょう?

純士 自分が今、カタギになる苦労を味わっているからこそ感じたんですが、汗だくになってカタギに戻ろうとしている人間に対して、あそこまでの追い込みをかけるのはいかがなものか。もっと他にやるべき奴がいたんじゃないの? と思いました。だから見終わったあと、あまりスッキリできなかったです。

麗子 お義母さんはこの映画を見て、スッキリできたんとちゃいますか? 銃撃戦のときに「ひゃーっはっはっはっ!」って大笑いしていましたよね?(笑)

恭子 最近、日常生活で嫌なことがあったから、ああいう場面を待ち望んでいてテンションが上がっちゃったけど、どうでもいい奴らが死んだだけだったから消化不良よ。でも、映画の終わり方は好き。

純士 俺は、あのラストはイマイチかな。もっと間を与えず、情け容赦なく、幕を引いてほしかった。

――ご家族の中でも賛否両論、さまざまな意見が飛び交いましたが、そろそろ純士さんのほうから総括のコメントをお願いします。

純士 なんやかんや文句も言ったけど、やっぱりこの映画はすごいですよ。こんだけ今、現実の暴力団同士が揉めていて、東京五輪も近いってときに、あんだけのヤクザがバンバン組の名前を出して人を殺すような映画を実際にやっちゃう、許されちゃうってのは、本当にすごいこと。もしこれが北野映画じゃなかったら、そんな映画に出たってだけで銀行取引もダメになるような時代なのに、民放各局がこぞって宣伝までするというのは、武の力に他ならない。あの人以外に許される人はいないでしょうし、こういうヤクザ映画を劇場で見られるのはおそらくこれが最後でしょうね。だから、見ておいてよかったと思います。

 * * *

 劇場はアウトローだらけなのでは? と心配している読者も多いかもしれないが、満席の場内を記者が見渡した限り、それらしき風体の人物は瓜田を除けばほぼ皆無。家族でもカップルでも安心して楽しめる作品と言えそうだ。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

『アウトレイジ最終章』瓜田一家の採点(100点満点)
純士 70点
麗子 3点
恭子 80点

本物の極道だった元アウトローのカリスマ瓜田純士が見る『アウトレイジ 最終章』の画像5

※日刊サイゾーでは瓜田純士の最新情報をほぼ月イチペースでお届けしています。
https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

※瓜田純士公式ブログ
http://junshiurita.com

※瓜田純士&麗子Instagram
https://www.instagram.com/junshi.reiko/

最終更新:2018/11/22 16:42
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