正統派から変化球まで! 人間ドラマ3選
#海外ドラマ #すごドラ!
もちろん人気ジャンルの犯罪ドラマにだって、心を揺さぶるヒューマン・ドラマはある。少し前の作品になるが、『キリング/26日間』がそれだ。ヨーロッパで大ヒットしたデンマークのドラマ『THE KILLING/ザ・キリング』を、舞台をシアトルに移してリメイクした本作は、失踪した17歳の少女ロージー・ラーセン殺人事件をめぐる人間ドラマ。1話完結方式が多い犯罪ドラマの中で、本作は1話=1日で描かれる26日間の捜査劇をじっくりと描いているだけに、事件に関わる人間たちの姿がよりディープに描写されている。捜査を担当する刑事たちだけでなく、浮かび上がる容疑者たち、突然娘を失った被害者遺族、そして被害者である少女の友人や少女自身まで、たったひとつの事件が、それに関わる人間たちにどのような影響を及ぼすのかが克明に描かれ、登場人物の心の揺れが見る者をどんどん引き込んでいく。
特に被害者遺族の家族たちについては、突然家族を奪われた悲しみにどう対処するのか、誰もが懸命ゆえにゆっくりと家庭が崩壊していってしまう様があまりにもリアルすぎて、その慟哭が胸に迫る。一方で、二転三転する捜査の行方や真犯人にたどり着くまでまったく先が読めないストーリーなど、犯罪ドラマとしてもかなり練り込まれているので、1話完結型の犯罪ドラマに物足りなさを感じている人にはオススメだ。オリジナル版の持ち味を活かしつつ、徐々に独自性を発揮していくので、オリジナル版とアメリカ版それぞれの人間模様を見比べてみても面白い。
●まくた・ちひろ
映画・海外ドラマライター。『日経エンタテインメント!海外ドラマSpecial』『ゲーム・オブ・スローンズ パーフェクト・ガイド』(日経BP社)、『海外ドラマTVガイド WATCH』(東京ニュース通信社)、『映画秘宝EXドラマ秘宝vol.2~マニアのための特濃ドラマガイド』(洋泉社)等に寄稿。Twitterアカウントは@charumin
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