食べることは生きること――あまりにもヤバい新食感グルメ番組が映し出す、世界の現実
#テレビ東京 #テレビ裏ガイド #てれびのスキマ
グルメ番組といえば、心穏やかに見るものと相場が決まっている。おいしそうな料理におなかを鳴らせながら、近場なら、その店の情報をメモしたりする。テレビにおいて重要な要素である「情報」の中でも、最も幸福な種類の情報番組のひとつだ。
だが、VTRを見ている小籔一豊が思わず
「どういう気持ちで見たらいいんやろ?」
「(料理を食べて)新食感とか言うてた自分が恥ずかしい」
と顔をしかめる“グルメ番組”がある。
それが、10月3日深夜に放送された『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(テレビ東京)だ(なお、10日深夜にも第2回が放送される予定)。
タイトルからして、不穏なムードが漂っている。
この番組がリポートするグルメは、一言で言えば「ヤバい飯」。といっても、ゲテモノの類いではない。食べている人が「ヤバい」のだ。
なるほど、サブタイトルが「ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯」というのもうなずける。
まず番組は、アフリカのリベリア共和国に。
西アフリカに位置する小国で、アメリカから解放され、アフリカに戻った黒人奴隷が建国した国。そのため、共用語は英語だ。年間の日本人渡航者(民間)は限りなくゼロに近いことなどが、ナレーションを排し、テロップのみで伝えられる。
ディレクターは、街の市場に向かう。
そこで彼が目にしたのは、日の丸のマークが描かれた包み。「非売品」と記されている、とうもろこしの粉だ。それを売買している者に聞くと、やはり日本からの支援物資が横流しされ、転売されているのだという。番組では、それを手に入れて食べている人を「横流し飯」としてリポートしていくのだ。
さらに、エボラ出血熱を発症しながら奇跡的に生き残った人の食事もリポート。家族は全員エボラで死に、今は親戚の家に身を寄せている。彼女にディレクターが「生活はどう?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「変わらない。不幸なままよ。生きていけるけど簡単じゃない。食べ物がないの。叔母さんが食べ物をくれるけど、毎日じゃないから」
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事