高級漢方の代名詞「冬虫夏草」の“抗がん作用”はウソだった!? 中国研究チームが衝撃の発表
#中国 #海外ニュース
「冬虫夏草」という漢方をご存じだろうか? その正体は、地中にすむガの幼虫などにキノコの菌が寄生したもので、滋養強壮や抗がん効果があるといわれてきた。中国では古来より漢方薬や薬膳食材として親しまれてきた高級品で、日本でも非常によく知られている。そんな冬虫夏草への信頼を大きく揺るがすデータが、このほど発表された。
「網易」(10月20日付)によると、中国科学院上海植物生理生態研究所の研究チームが、国際的な学術雑誌「Cell」に、驚くべき研究データを発表したという。これまで、オオコウモリガ由来の冬虫夏草に豊富に含まれていたとされる抗がん成分ペントスタチンや、細胞のがん化を抑制するコルジセピンなどの成分が、実際には全く含まれていなかったというのだ。
オオコウモリガ由来の冬虫夏草は、古来から中国の漢方書に記載があり、1950年代から「抗菌成分や抗がん成分が豊富に含まれている」と信じられ、高級漢方として高値で取引されるようになった。今回の研究結果は、中国国内のメディアでも大きく取り上げられており、海外にも多く輸出されていた漢方草だっただけに、そのショックはまだまだ広がりそうだ。
「冬虫夏草にはオオコウモリガの幼虫以外にも、セミの幼虫由来のものなど、その種類は1,500種あるとされています。現在、冬虫夏草は市場で、1kg当たり200万円ほどで取引されていますが、その価格は40年前の1万倍になったといわれています。今回の研究では唯一、抗がん成分が確認されたのは、サナギタケ(カイコの幼虫由来)のものだけでした。抗がん効果が期待されている冬虫夏草の研究は、日本国内の大学などでも行われており、今回の報告結果は、少なからず今後の研究にも影響を与えるでしょう。日本でも、国内産をうたう冬虫夏草が生産・販売されていますが、由来となる幼虫の種類を確かめたほうがいいでしょう」(北京市在住の日本人大学講師)
一方で、中国産漢方薬といえば、数年前から残留農薬による汚染なども指摘されており、ヨーロッパなどの一部の国では、輸入販売が停止となっている。中国でも漢方に対する信頼が揺らいでおり、近年、日本のドラッグストアなどで日本産の漢方薬を大量購入する中国人観光客の姿も目にする。中国で生産・加工販売されている漢方薬を中国人自身が信用していないことを物語っているが、肝心の効能をめぐっても、今後“偽装”が発見される可能性がありそうだ。
(文=青山大樹)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事