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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 神木隆之介をイジリ倒したい!

必死に立ち回る神木隆之介を愛でたい! イジリ倒したい!『刑事ゆがみ』の楽しみ方

フジテレビ系『刑事ゆがみ』番組公式サイトより

 26日に放送されたドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)第3話の視聴率は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回より0.2ポイントだけ回復。低空飛行が続きますが、今回も内容的には悪くないです。全然悪くない。事件の謎解きで得られるカタルシス的にはちょっと微妙ですが、全体としては面白かったです。はい。

前回までのレビューはこちらから

 というわけで、悪くない謎解きなので、今回も詳細は書かないでおきます。例によって、興味があればFODで無料で見られますし。

 前回のレビュー(記事参照)では、神木隆之介演じる新米刑事・羽生くんのキャラクター造形についてお話ししました。主人公の弓神(浅野忠信)は、ある意味で“型破り”という型通りに、典型的な“型破り刑事”として描かれています。一方、バディである羽生くんの設定は、捜査能力・捜査哲学・職業倫理に関しては弓神と対照的でありながら、弓神以上に多くの個人的な情報が与えられています。これによって、視聴者は羽生くんに感情移入しやすくなっているし、羽生くんこそ愛すべきキャラとして立ち上がっているという話でした。

■主人公は弓神ではなく、羽生くんでした。

 今回まで見てきて、ドラマが羽生くんの内面描写や背景設定の構築に手間を惜しまなかった理由がわかってきました。この『刑事ゆがみ』というドラマは、実は羽生くんを主人公に設定しているのではないか、ということです。

 今回の第3話までの事件の発生と解決において、心を揺さぶられたのは、いつも羽生くんでした。1話では偶然出会った初恋の相手、2話では偶然出会った同じ“女教師フェチ”という趣味を持つ下着泥棒、そして第3話では交番勤務時代にお世話になった上司。いずれの事件でも、そのキーパーソンは羽生くんの心の機微に触れてきます。逆にいえば、弓神はどの事件に対しても冷静で、判断力を失うことがありません。

 つまり、視聴者が羽生くんにがっつり感情移入できるようなキャラクター描写を施した上で、その羽生くんの心情を揺さぶる事件を起こす、というパターンを敷いているように見えるんです。原作では金魚のフンでしかなかった羽生という人物を主人公に仕立て上げているわけですから、これはなかなか大きな原作改変ですし、今のところ実に成功していると感じます。

 成功の理由は、やはり神木隆之介という俳優さんの力によるところでしょう。これは、制作側の中に「神木さんにこういうシチュエーションを与えればいい顔をする」「こんな試練を与えればこう跳ね返してくる」という絶対的な信頼感があるからこその作劇です。しかも、手練れの浅野忠信を向こうに回して、という配置ですから「あの神木きゅんも立派になったなぁ」と感慨にふけってしまいます。

 スタッフの神木さんに対する信頼と、神木さんの信頼に応える芝居。この2つの相乗効果により、羽生くんに感情移入した視聴者は羽生くんと一緒に泣いたり怒ったりしながら楽しめますし、仮に彼本人に感情移入できなくとも、弓神がわかりやすいキャラなので、弓神の側から必死に立ち回る羽生くんをイジっている(愛でている)ような感覚を味わうことができる構図になっている。わりと全年齢的に見やすい作品だと思うんですよ。視聴率の話はとりあえず横に置いとくとして。

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