死亡事故は想定内!? 中国で世界初「無人運転バス試験運用開始」の深いワケ
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現在、世界各地で無人自動運転バスの実証実験が行われ、大きな革新をもたらそうとしている。日本でも、数年以内の実用化を目指している。
そんな中、お隣中国では、世界に先んじて無人自動運転バスの試験運行が10月にも開始されるという。自動運転技術の安全性もさることながら、交通マナーが非常に悪い中国で、果たして無人自動運転バスの運行は可能なのだろうか?
「連合早報」(9月19日付)」によると18日、広東省深セン市で《2017年・路線バス無人自動運転記念》なるイベントが開催され、地元の政府関係者などが参加した。
同市では、市内の路線バスのうち2路線で、無人自動運転バスの運行をスタートさせるという。
1019の路線に1万279もの停留所が存在する同市では、毎日延べ474万の乗客がバスを利用している。今後、安全性を十分に考慮した上で、全路線バスに無人自動運転技術を導入していく方針だという。
実は、中国では現在、国を挙げて自動運転技術の開発を行っている。中国ネット検索最大手の「百度(バイドゥ)」は今年、フォード・モーター社、ダイムラー社、インテル社など世界50社と共同で、自動運転技術の研究を開始した。《アポロ計画》と名付けられた同プロジェクトは、AI技術を用いて自動運転システムを研究していくという。2020年12月には実用化される見通しだともいわれている。
無人運転の公道運用で世界をリードする理由について、中国事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木氏はこう話す。
「日本や欧米諸国では、死亡事故でも起きようものなら計画自体が頓挫することになるので、自動運転の試験運用にはかなり慎重にならざるを得ない。一方、中国では死亡事故の1つや2つで国家的プロジェクトが止まるようなことはないため、イケイケドンドンが可能なのです。中国の世論にも安全性を疑う声はありますが、市民の交通マナーの悪さから死亡事故が頻発しているので、『人間の運転よりは自動運転のほうが安心できる』という声も多数あります」
果たして世界初の試行運転がうまくいくのか、注目だ。
(文=青山大樹)
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