障害者も健常者も関係ない! リリー・フランキーと清野菜名が不器用に愛を叫ぶ!!
#映画 #インタビュー
■不器用で不細工、だからかっこいい
――映画では、リリー・フランキーさんがクマを演じられていますね。
松本 リリーさんは、クマのモデルとなった熊篠さんとロフトプラスワンのトークショーなどで親交を重ね、長年の付き合いがありました。こうしたこともあって、僕が「熊篠さんの実話を元にした映画を考えている」と話したときに、すごく興味を持ってくれたんです。僕はリリーさんのユーモアをまぶした性格とか、顔立ちとかも熊篠さんと似ていると思っていたから、クマはリリーさんが演じるしかないと企画当初から思っていました。リリーさんは一見クールに見えるけれど、実は熱い人です。リハーサルのたびに2人で飲みに行って、脚本のことを語り合っていましたね。例えば、熊篠さんは普段、「夢は立ちバックで」って言ってるんですけれど、リリーさんは「ここは映画に入れたい」と言ったことから、脚本に盛り込んだりもしました。
増田 僕は長い間、ロフトプラスワンでトークライブの企画を手掛けてきて、リリーさんも熊篠君もずっと近くで見てきた人間なんですけど、撮影中のリリーさんからは少し違ったオーラが漂っていました。熊篠君が現場を訪れた際、電動車椅子に乗ったままの2人を遠目に見ると、どっちがどっちだか見分けがつかないくらい似ていましたよね。松本監督が描こうとする突き抜けた世界観に、一表現者として懸命に応えるリリーさんの姿勢が、とても素敵でした。
――清野菜名さんとの相性は、どうでしたか?
松本 リリーさんと清野さんは本当に仲が良くて、最後のほうは本当にクマとミツのようでした。そんな2人の雰囲気が映画の画面にも表れ、僕が想像していたよりも生き生きとしたクマとミツになったんです。おかげで演出が楽でしたね。待ち時間に、2人でよくわからないCMソングを歌っていたんですが、それがやけに耳に残っています(笑)。
――松本監督はキリスト教徒ということもあり、これまで『まだ、人間』や『最後の命』などの作品に、自身の思想を色濃く反映させていました。そこが一部で難解とも称される作風になっていましたが、今回はダイレクトに人間の生きざまを描き、エンタテインメント色が非常に強い作品になっています。
松本 そうですね。今回は、誰もが楽しむことのできるエンタテインメントであること、そしてポップであることを心がけました。ポップっていうのは、ダサさだと思うんですよね。かっこいいだけだど、ポップにならない。どこかダサくないと。その不器用さとか、不細工さが、この作品にマッチすると思ったんです。まず、タイトルが『パーフェクト・レボリューション』なんですけれど、このタイトルはダサさがあると思うんですね。ミツが「革命を起こす」と言ってるのも、実はダサい。カメラもほぼ手持ちでしたが、かっこよく撮ろうという意識もありませんでした。単純に人間としてクマとミツが向き合って、ぶつかり合うというところで作っていきました。そんな2人の生き方は不器用だけれど、泥まみれになってもがいているから、逆に一番かっこいいと思うんです。今のように息苦しい時代、そんな2人の生き方が、お客さんの心にどう響くのか、とても楽しみな半面、興行的な成否も気になってプレッシャーにもなっていますよ(苦笑)。
(取材・文=井川楊枝)
●『パーフェクト・レボリューション』
9月29日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本 松本准平 企画・原案 熊篠慶彦
出演 リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、岡山天音、丘みつ子、下村愛、増田俊樹、螢雪次朗、石川恋、榊英雄、余貴美子 ほか
配給/東北新社 PG12
(c)2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会
http://perfect-revolution.jp/
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