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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > リリーと清野が不器用に愛を叫ぶ
『パーフェクト・レボリューション』公開記念 松本准平監督インタビュー

障害者も健常者も関係ない! リリー・フランキーと清野菜名が不器用に愛を叫ぶ!!

障害者も健常者も関係ない! リリー・フランキーと清野菜名が不器用に愛を叫ぶ!!の画像1(c)2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会

 9月29日より全国公開される映画『パーフェクト・レボリューション』は、幼いころに脳性麻痺を患い、手足を自由に動かすことができなくなったクマ(リリー・フランキー)と、人格障害を抱えた風俗嬢のミツ(清野菜名)が、互いの障害を乗り越えて本当の幸せをつかもうとする物語だ。

 クマのモデルとなったのは、脳性麻痺を抱えながら障害者の性への理解を訴える活動を続ける熊篠慶彦氏。そして本作の監督を務めたのが、東京大学工学部建築学科卒ながら、吉本総合芸能学院(NSC)12期生という、異色の経歴を持つ松本准平氏だ。

 そんな松本氏と、本作の企画の段階から関わり、クマの従弟・東海林二郎役として出演した増田俊樹氏に見どころを聞いた。

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――非常にエッジの効いた映画ですが、どういうキッカケで企画を?

松本 増田と熊篠さんが旧知の中で、紹介してもらったのがきっかけです。そのとき、熊篠さんが障害者の映画を作りたいと話していて、そこから話が進んだんです。僕は当初、プロデューサーとして入る予定でした。

――それが、なぜ監督を?

松本 仕事仲間にお願いしてプロットを書いてもらったんですが、それを読んだとき、ちょっと違うなあと感じたんですね。そのプロットは健常者から見た障害者問題だったんですが、この映画をやるなら、熊篠さんを等身大でナチュラルに描かないといけない。そう考え、自分でやろうと思い始めたんです。

――それは松本監督ご自身が、熊篠さんと接するうちに、熊篠さんのことを障害者ではなくて、一人の友人として接するようになったからということでしょうか?

松本 そうですね。世間一般には、障害者というと、『24時間テレビ』(日本テレビ系)で目にするような障害者像を思い描かれるかもしれません。聖人君子的で、言い方は悪いかもしれないけれど、感動ポルノ的に理解しているケースも多いと思います。でも、モデルとなった熊篠さん自身は「障害者だってセックスをしたい」と、障害者の性問題を世間に訴えている。こうしたことから考えても、この映画を作るに当たっては、障害者と健常者を分け隔てちゃダメなんです。そこで、友人がじかに体験した恋愛物語をベースにして、その目線で話を作って撮りました。

――映画の中のクマは、皮肉屋でリアリストですが、ミツと出会ってから変わっていきますね。

松本 今の時代、いろんなことにあきらめていたり、不自由さを抱えている人がたくさんいると思います。本作は障害者同士が恋をする話ですが、この不可能性みたいなものは健常者の人も同様に持っているテーマだと思うんです。ただ、クマとミツは、普通の人よりもより多くの困難を抱えているだけ。そんな2人だけれど、それでも挑戦し続けていきます。

――ラストは印象的ですね。

松本 試写会をご覧になった方からは賛否両論が出ていますが、僕は、少し専門的な言い方をすると、ナラティブをディスクールにしたかったんです。

増田 監督は難しい言葉を使うので簡単に説明すると、僕は、ラストにありがちな<物語の結末>を描こうとはせず、『この瞬間、あなただったらどうする?』と観客に問いかけているような気がしました。それって、まさにロックンロールでしょ? ロールしているんだから、イメージがどんどんつながっていく。こちら側に向かって、『ここから先は、あなたのストーリーですよ』って、思わずバトンを渡されたような感じでしたね。

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