トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > その他 > ウーマン・ウェジー  > 広末涼子「妊娠しなければ仕事を辞められないと」
【wezzy】

広末涼子「妊娠しなければ仕事を辞められないと」 武井咲報道に見る売れっ子女優の自由と権利

 9月1日に発表された、女優の武井咲(23)と「EXILE」のTAKAHIRO(32)の結婚、および妊娠。武井は女優として3クール連続でドラマ主演しているだけでなく、数々の企業・商品のイメージキャラクターとしてCM契約を結んでおり、先々まで出演ドラマや映画の撮影スケジュールが埋まっていた。それゆえに、この決断を「無責任」「非常識」と謗る声があちこちに書き込まれていた。なぜこの多忙な、注目度の高い時期に、出産という選択で一時的にしろ仕事に穴をあけるのか……ということだ。

 しかし彼女は10代後半から何年間も、一般的には考えられないほど働きづめだったと考えられる。まして常に衆目にさらされる職業だ。主演ドラマが続けばそれだけ長期間、その一挙手一投足は注目を浴び続ける。仕事のための拘束時間も長いだろう。年内は撮影を続け、来春に出産、7月クールか10月クールにはテレビドラマに復帰する予定と見られているが、それでも休業期間は一年に満たない。向こう何年もスケジュールは決まっていたというから、産後、再びすさまじい仕事量をこなす日々に戻るのだろうか。

 今回の結婚騒動(騒いでいるのは当事者ではなくマスコミだが)で、14年前の騒動を連想した。女優・広末涼子(37)の結婚と妊娠・出産だ。

 1996年に大ブレイクした広末は、アイドル女優・歌手として快進撃を続けた。しかし98年に早稲田大学教育学部に入学してから、悪い噂も流されるようになり、01年5月にフランス映画『WASABI』会見で号泣して“情緒不安定”と書かれ、新作CMの撮影をキャンセル、同年夏放送の主演連続ドラマ『できちゃった結婚』(フジテレビ系)撮影中に“奇行”報道が相次ぎ、“プッツン女優”のレッテルまで貼られた。そして03年10月に「女優業に専念」するとして大学を退学、12月にモデルの男性との結婚および妊娠を発表して2年間の休業に入った。

 当時のことを広末は、雑誌のロングインタビューで振り返っている(「FRaU」2016年7月号/講談社)。

「ホントに、仕事を辞めたくて仕方なかったです。もちろん結婚なんて許されない時だったので、そこへの反発は大きかったし、正直、確信犯ですよね。出来ちゃった結婚だといわれたけど、そうじゃないと結婚なんて出来ない状況だった」

 98年から03年までの広末涼子は走り続けていた。メインキャストで出演する連続ドラマを年に2本のペースで撮り続け、ナショナルクライアントのCM契約も多数。テレビをつけて広末涼子を見ない日はなかっただろう。その日々の中で、本来の自分とは異なる人格を作り上げられてしまうこと、ありもしないスキャンダルを書き立てられること、フランスでの映画撮影で気づいた日本芸能界の閉鎖性、海外エージェントとの違いや矛盾(会見で泣いたのはこのためだった)……様々な要因が重なり、「遅い反抗期」を迎え、彼女は自ら「結婚」という選択で一時停止したのだという。23歳のときだった。

 もちろん武井咲のケースと広末のケースは違う。武井はかねてより早婚願望を隠さず、周囲がどのようであっても自分の人生計画は曲げないという信念を持っていたように見える。反抗期という意味合いはそこにはなさそうだ。一方で、広末が言うような「そうじゃないと結婚なんて出来ない状況」は、両者に共通していたのではないだろうか。

 武井咲の場合も、数年先まで仕事の予定が埋まり、「結婚にちょうどいいタイミング」を選べる状況ではなかった。また、武井が数々の企業・商品のイメージキャラクターとしてCM契約を結んでいること、先々まで出演ドラマや映画の撮影スケジュールが埋まっていたことから、「事務所はクライアントなど関係各方面へお詫び行脚」「損害賠償10億」といったマスコミ報道が多くあった。

 実際には、この結婚・妊娠による撮影スケジュールの調整こそあれ降板の可能性は低く、「損害賠償10億」もただの憶測に過ぎず、支払う義務がないどころか誰も請求などしていない。9月7日、日本エンターテイナーライツ協会(ERA)が、「武井咲さんの10億円の違約金報道について」と題する声明を発表。ERAはこうした大々的な報道が「多くの視聴者、読者を誤解させる」こと、そして「タレントたちに対して不当な圧力を与え、結婚、妊娠を始めとする人間として大切な自由と権利を不当に制限する原因となりかねない」との認識を示している。

 損害賠償は発生しないが、しかしタレント側は「いま、結婚は認めてもらえない」という圧力をしばしば感じているのではないか。ただ、それでも強行突破してしまえば案外大丈夫なのだ。今、広末涼子は三児の母であり、正統派トップ女優でもあり、広告契約もあるメインストリームの芸能人として活躍している。武井もおそらく、そうなっていくだろう。不安を煽ることはない。

最終更新:2017/09/10 07:15
ページ上部へ戻る

配給映画