“元アウトローのカリスマ”瓜田純士『君の膵臓をたべたい』を酷評も、肩にカメムシが付いていた
#インタビュー #瓜田純士
――奥様はこの映画で泣きましたか?
麗子 泣きました。私はさっきのカメムシが死んでも泣くような人間ですから。
純士 ウチの嫁は、雰囲気に弱いんですよ。ストーリーはチンプンカンプンだとしても、泣ける音楽が流れて登場人物が泣き始めると、それにつられて泣くんです。でも今日の泣きレベルは5段階評価で1ぐらいでしょ? いつもはもっと泣くもんね?
麗子 そやな。中学生と私は騙せても、人生経験豊富な大人は泣かへんかも。でも、めっちゃええ場面もあったやん。急に見舞いに来られて、身だしなみをしてないから、と照れるフリしてベッドの中で泣くシーンとか。
純士 ああいう本音というのかな、「みんなの前では強がってるけど本当はこういう葛藤があって苦しいんだ」というシーンが多くあったら、俺も泣けたかもしれない。なんでそういうシーンが少なかったのかというと、答えはひとつで、「ラスト、きっとこのタイトルに涙する」とキャッチコピーで謳ってる通り、最後に種明かしをする構造になってるから、途中、途中で本音を描けなかっただけのこと。大いなる失敗ですよ、これ。便宜上、ヒロインの苦しい心模様を終盤まで出せなかったから、話が全体的に軽く薄くなってしまった。そもそもこのキャッチコピーもどうかと思う。泣く・泣かないはこっちが決めるのに、製作陣が泣くタイミングまで勝手に決めるんじゃねえよ、と言いたいです。
――ホテルでの男女のやりとりに、キュンと来ませんでしたか?
純士 ああいう男女のバカげたやりとりに小説で何ページも割いたのかな、と思うとゾッとしますね。
――何か一つぐらいは、褒める点はなかったですか?
純士 おっ! と思ったのは、登下校の描写がリアルだった点。ヒロインの名前が桜良(さくら)だから、桜をバックにした通学路のシーンが多かったですよね。ああいうシーンってたいていの邦画だと、エキストラが嘘くさい言動をしちゃうんだけど、この作品では自然な動きと自然な会話をしてたから、どこかの学校の本当の日常を切り取ったように見えた。そういう見せ方にはこだわってるな、と思いました。あと、小栗旬と北川景子はさすがの貫禄で、若いふたりに比べると、画面に出たときの迫力が違いました。ただ、今回の小栗くんの役柄は、主体性のない、振り回されるだけの可哀想な男って感じで、魅力的ではなかったですけどね。
――瓜田さんは、恋愛映画が苦手なんですかね?
純士 いや、そんなことないですよ。小学校のころから、男女間の、目と目が合ったとか、気があるとかないとか、そういう少女漫画みたいな世界に憧れてましたから。ただ、いい思い出はないです。学校に行くと、よく一緒にしゃべる女子っていたじゃないですか。俺はそういう子たちから好かれてると思ってたんですけど、あるときからみんなが急に冷たくなり、ほぼ同時にその子らの親戚のおやじとかが出て来て、「ちょっかい出すな」と釘を刺された。どうやら「瓜田くんは怖すぎるから、なんとかしてほしい」と、女子グループが共闘を決意して大人にチンコロしたらしい。それほどまでに俺、嫌われてたんですよ(笑)。
麗子 でも、純士のことを好きって言う子もおったみたいやん。
純士 あぁ、あれか……。たいして可愛くもないくせに、イニシャルで「U・Jが好き」みたいなことを小学校の卒業アルバムに書いたバカ女がいるんですよ。U・Jなんて俺しかいないから、今後一生、クローゼットから卒アルが出てくる度に、当時のクラスメイトは俺とその女を思い出して笑いものにするでしょう。その女のいっときの自己陶酔のために、この俺に何十年単位で恥をかかせやがって……。今回の映画でもヒロインの綴った文章が物語の肝になってますが、ああいう物証を残すのは野暮ですよ。色恋に関することは「聞くな、言うな、書くな」が基本で、当事者の心の中だけにそっとしまっておくからこそ美しいもんだと俺は思いますけどね。
――そういう瓜田さんは、ブログの文末でほぼ毎回、決め台詞のように「ひよっけ(奥様の愛称)が大好きです」と書いていますが、あれはどういう了見なのでしょう?
純士 アントニオ猪木に「元気ですかー!?」の意味を聞くバカはいないでしょ。それと一緒です。くだらないことを聞かないでください。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)
『君の膵臓をたべたい』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士 3点
麗子 2点
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https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/
※瓜田純士公式ブログ
http://junshiurita.com
※瓜田純士&麗子Instagram
https://www.instagram.com/junshi.reiko/
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