2ケタキープの高畑充希『過保護のカホコ』竹内涼真の「キュン死」演出が、逆に不穏すぎる!
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■竹内涼真の「キュン死」演出が意図するもの
一方で、カホコとハジメ(竹内涼真)の恋の行方は、たいへん瑞々しく描かれます。カホコが「カホコって呼んで」「好きって言って」とお願いして、ハジメが照れちゃって言えないという件の繰り返しなんて、超ベタなやつを徹底的にあざとく撮っています。さらにハジメが、カホコの表情に見とれて思わず「大好きだよカホコ」って言っちゃうとか、もうそりゃキュン死でしょう。そうでしょう。
前回の「お姫様抱っこ」からの「玄関グイ!」もそうなんですが、このドラマのロマンティックシーンのロマンティックさは、尋常ではありません。だから不穏なんです。竹内涼真が「キュン」を誘えば誘うほど、不穏になる。
なぜなら、おそらく遊川さんがこれから描こうとする「家族の崩壊と再生」のようなものは、今回までに仕込まれた伏線からすれば、相当にシビアで残酷です。「再生」が訪れない家族だってあるかもしれない。『東京物語』(1953)で原節子が放った「私はずるいんです」並みのパワーワードが発せられるかもしれません。登場人物たちの心の血がドクドクと流れる予感がします。
そういうものを「キュン」目的だけで見てる視聴者にブチかまそうとしているんじゃないか、と感じるんです。だって、あざとすぎませんか、竹内に対する演出だけが。竹内をあえてあざとく演出することで「キュン」な層を引き付けておいて、どえらいものを見せようとしてるんじゃないかと。ドロドロのやつをBUKKAKEするつもりなんじゃないかと。要するに、「キュン」層が全然見たいと思っていないような展開と結末が用意されているような気がするんです。それを、本当に見せたい層に見せるための「キュン死」連発であると。
当然、そのようなことになれば遊川さんは大いに批判を集めることになるでしょう。しかし、遊川さんがそうした批判をまったく恐れない作家であることだけは間違いありません。なので、不穏なのです。うーん、不穏!
(文=どらまっ子AKIちゃん)
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