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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 攻めてる感が心地よい『僕やり』

『僕たちがやりました』視聴率5.4%でも悲壮感ゼロ!? 画面から伝わる「やり切ってる感」が心地よい

■「人生を終わろう」と「人生を終わらせる」の対比

 トビオは自首する勇気がないという理由で、ボーリング場での無銭遊戯に走りました。警察に連れて行ってもらって、そこですべてを話して、どうしようもない人生を終わろうという算段でした。

 一方、爆破事件で障害を負った市橋は、トビオ以上に何もかもがどうでもよくなっています。ひとりじゃおしっこするのだって大変だし、手下だった同級生は「タイマン張ろうぜ」とか言って車イスを蹴ってくるし、もうバイクにも乗れないし、蓮子と一緒にいたら「トビオを殺したい」という気持ちも萎えてくるし、死んでも悲しむ人は婆ちゃんひとりしかいないので、ほんとにどうでもよくなってる。蓮子だけが以前と変わらず接してくれるので、なんとか生きてるという感じです。

 その蓮子が、手下のヤツらに目の前でスタンガンで倒され、目の前で輪姦されそうになります。市橋はナイフで脅されているし、そもそもひとりじゃ何にもできません。

「もうこれ以上、地獄見せんな……」

「もうどうでもいいんだよ、俺には……」

 市橋は向けられたナイフを自らの手でつかむと、お腹にブッ刺しました。

「やりたきゃ俺を殺せ。もう終わった人間なんだよ」

 さらにぐりぐりと、刃をねじこんで吐血しています。ビビった手下連中は、蓮子を解放して逃げだすしかありません。市橋は、文字通り命がけで蓮子を守ったのでした。

 しかし、具体的な描写こそありませんが、こうやって女の子を輪姦したりっていうのは、きっと元気だったころの市橋だってやってきたことなんでしょう。立場が変化して、蓮子しか味方がいない、命を張る対象がいないからそうしただけで、別に正義感や倫理観での行動じゃない。ただの身勝手な自暴自棄が、結果として蓮子を助けることになっただけ。

 このへんの一連の市橋って、かなり過剰というかグロいというか、動機と行動と結果のコントラストが激しくてキツイところなんで、ドラマでは緩めてくるかなーと予想していたんですが、しっかり伝えようとしていてよかったと思います。やっぱし、この作品、攻めるところはとことん攻めてると思う。

 あと「攻めてる」でいえば、今宵ちゃんとトビオのセックスはどれくらい「攻め」てくれるのかなーと期待していたのですが、やっぱりこれはキスだけでお茶を濁された感じですね。でも、キスのあと別のシーンに飛ぶのではなく、すべからく直後にCMに入ったので、CM中に脳内補完してアレしておいて次の展開を待つことができ、意外に充足感があったように感じます。今後も楽しみです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

最終更新:2017/08/16 20:00
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