パソコン通信で彼女ができる? アマチュア無線では“オタサーの姫”が殺されていたバブル時代
#雑誌 #出版 #昼間たかしの「100人にしかわからない本千冊」
■ナンパが苦手なボーイにこそ魅力的だったパソコン通信
だから、パソコン通信でナンパを試みたのは、日常からナンパを繰り広げている男子よりも、もう一段下の気弱な男子だったのではないかとも推測できる。というのも、この記事よりも少し前「ホットドッグプレス」1989年2月25日号でも、やっぱりパソコン通信で恋人をゲットする方法が指南されているのである。「ホットドッグプレス」といえば、言わずと知れた恋愛マニュアル雑誌の王道。現代的な視点では、決してうまくいくはずもないナンパテクを掲載しまくっていた同誌では、恋人づくりにおけるパソコン通信の優位性をとにかく煽る。
お互いにパソコン通信の仲間意識があるから、意気投合するのは素早い。かつまた、パソコン通信では顔が見えないから絶対に“今度あいましょう”なんて話に発展するはず。
<中略>
実際に、パソコン通信で知り合った2人が結婚しちゃったって新聞記事がこの間出てました。
そんな夢にあふれるパソコン通信。でも、人間とは愚かなもの。現代と変わらず、コミュニティの中ではさまざまな愛憎のもつれが存在していたのだろう。
■アマチュア無線では男女交際のもつれで殺人事件も
そこでふと思い出して調べてみたのが、80年代にあったアマチュア無線で出会った男女が別れ話になった結果の殺人事件。1987年12月に起こったこの事件。調べて見ると、いろいろオカシイ。
被害者は名古屋在住の当時32歳のピアノ教師の女性。犯人は20歳の専門学校生。この年の5月アマチュア無線で知り合った2人は交際を開始。人妻だったピアノ教師は8月になって夫と別居していたというから、かなりの熱の入れようだったのだろう。ところが、秋になると女性のほうが一気に冷めモードに。12月に入りクリスマスの夜に徹夜で話し合ったが女性の方が「ほかにいい人がいる」と言い出したため、絞殺。東名高速を飛ばして都内に向かい、結局、八王子市に遺体を遺棄したというもの。
これだけなら、ちょっと複雑な男女間の愛憎劇なのだが「中日新聞」1987年12月31日付には、こんな一文が。
捜査本部は、別居中の夫からアマチュア無線仲間の親しい男性がいたとの情報を得、交際していた三人の男性の追跡調査を開始。
え? これはオタサーの姫の殺人事件? いやはや、オタサーの姫は、この時代から存在していたということか。
ちなみにこの記事、被害者の弟のコメントも掲載されているのだが……
「姉にどんな交遊関係があったのか知りませんでした。犯人逮捕と言われても犯人がどんな男だったのか分からず複雑な気持ちです」と沈痛な表情で話していた。
事件にまでは至らずとも、誰も幸せにならない男女交際は、いつの時代も存在していたということなのか。
(文=昼間たかし)
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