“大根女優”本田翼が『わにとかげぎす』で覚醒! モデル系女優の正しい使い方とは?
#成馬零一 #本田翼 #女優の花道
羽田は、トランプに描かれたジョーカーのイラストのおじさんが初恋の人で、富岡のことも顔が理由で惚れたのだが、クールなたたずまいで富岡につきまといながら、そんな自分の変態性に恥じらいを感じている。恋愛となると必要以上に照れて狼狽するのは古谷作品の特徴で、それはどんな美女でも例外ではない。羽田も富岡を前にするとデレデレで、クールな外見とのギャップがすさまじくカワイイ。
モデル出身の美女がテレビドラマや映画に出演すると、演技がヘタとか棒読みとかボロクソに言われる。「non-no」(集英社)の専属モデルとして活躍する本田も例外ではない。個人的にはそんなに悪いとは思わなかったが、2年前に主演を務めた月9の恋愛ドラマ『恋仲』(フジテレビ系)での演技も、散々な言われようだった。
おそらくこれは本田やモデル出身の女優の問題というよりは、そういうモデル系のクールな美女を生身の人間としてちゃんと描ける作家が、極端に少ないことが問題なのだろう。決して彼女たちの責任ではない。
そんな中、『わにとかげぎす』は、本田の魅力をこれ以上ない形で魅力的な人間として描き出している。第3話では、彼女が富岡に、かつての彼氏に、隠しカメラでトイレ姿を盗撮されて、動画をネットに流出させられたという悲しい過去を告白。「汚れてますよね。終わってますよね、私。変態ですよね」と言いながら、なげやりに笑う表情はとても素晴らしかった。
ともすれば、男に都合のいい記号的な美女になりかねないが、きちんと生活感のある、一人の人間として描かれているのだ。
もちろん、ビジュアルの見せ方も完璧で、長い脚を惜しみなく披露している。
劇中ではショートパンツのボタンが外れて下着が少しだけ見えているカットが何度か入るのだが、はっきり言ってナマ脚のほうが100倍エロい。「本田翼といえばナマ脚」というイメージは、本作で決定付けられたと言っても過言ではない。おそらく本田にとっては、女優としての転機となることは間違いないだろう。
(文=成馬零一)
●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。
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